1、はじめに
日本は地震大国。 能登半島地震をきっかけにご自宅の耐震補強・改修を検討されている方もたくさんいらっしゃるかと思います。しかし、「耐震工事にはどのような方法があるの?」「耐震診断は必要?」など気になることもたくさんあるかと思います。 今回は、主な耐震リフォーム方法や費用相場などをご紹介します。 また、補助金や減税制度、ご自宅の耐震性の簡単なチェック方法などもご紹介します。
2、耐震対策の3つの種類
耐震リフォームの具体的な工法や費用についてお話する前に、まずは耐震対策の種類について解説しておきましょう。 建物の地震対策には、大きく分けて次の3つの方法があります。
① 耐震
耐震は、柱や梁、壁などを補強して地震による揺れに備える対策のことを指します。 大地震が来た時に建物が倒壊することを防ぐ方法です。 しかし、建物が地面と強固に密着しているため、揺れがそのまま住宅に伝わってしまうというデメリットを持っています。
② 制震
制震とは、ダンパーという部材を設置して揺れを吸収する対策法のことを言います。 建物の揺れ方は耐震とそれほど変わりませんが、振動を抑えて住宅にかかる負荷が低減するというメリットがあります。
③ 免震
免震は、建物と地面の間に免震装置を設置する対策法です。 建物と地盤を離すことにより、揺れを伝えにくくする方法として注目されています。
3、耐震リフォームの主な工事方法と費用相場
耐震リフォームの際にかかる費用は、工事内容によって25~200万円程度と金額にかなりの差があります。 木造2階建ての耐震リフォームの場合、100~200万円の工事費用の割合が41.8%、木造平屋の耐震リフォームの場合は、100~150万円の工事費用の割合が29.1%となっています。 工事内容の組み合わせによっては、200~300万円以上になることもあるため、予算について施工業者とよく相談しておきましょう。 施工内容別の工事費用は、次の通りです。
【筋交いを施工する耐震リフォーム】 ブレース(筋交い)や専門金具を取り付けるような工事は、1箇所あたり5~20万円ほどかかるでしょう。 柱と柱の間にブレーズをつけることで、壁面を補強できます。
【耐震パネルを施工するリフォーム】 壁に耐震パネルを施工する工事では、25~65万円ほどが相場となります。 壁材を一度取り払い、内部に耐震を施工します。 上から防水シートと壁材を貼れば工事は完了です。
【屋根の軽量化を行う耐震リフォーム】 屋根の耐震リフォームには、およそ80~150万円がかかります。 屋根材を葺き替えて軽量化することで、住宅にかかる負担を軽減して地震の際の売れを小さくする方法です。
ただし、築年数が経っている住宅では、基礎の補強やシロアリ対策が必要な場合が多いです。 建物の劣化具合によっても変動するため、総額がどのくらいになるかは見積もりの際にリフォーム会社に確認しておきましょう。
建物を全体的に補強しようとすると、その分費用がかかってしまいます。 予算を重視して耐震リフォームをしたい場合の優先順位は、以下を参考にしてください。
① 土台や柱の劣化・腐食箇所の修復、交換 ② 筋交いや面材による壁の補強 ③ 耐震金具による土台・柱などの補強 ④ 外壁や基礎部分のひび割れの補修 ⑤ 瓦屋根を葺き替えて軽量化
特に、木造軸組工法の住宅の場合には、梁や柱の接合部分の補強が肝心です。 ただし、建物の状態によっては優先順位が前後します。 そのため、最終的には耐震リフォームの経験豊富な業者と相談しながら実行する工事を決めていくと確実です。なお、地盤が軟弱な場合には、その分基礎が強固な建物にする必要があります。 心配な方は、地盤調査から対応できる施工業者を選ぶとよいでしょう。
4、耐震リフォームで活用できる補助金・ローン・減税制度
多くの自治体で耐震改修を対象とした補助金制度が用意されています。 どのような耐震工事にいくら補助金が支給されるかは、自治体によってさまざまです。 地元の補助金制度にも詳しいリフォーム会社に相談すると、申請方法や施工内容の決め方も丁寧にサポートしてくれるでしょう。
補助金を活用してもリフォーム費用の支払いが厳しいという場合には、ローン・融資制度の活用も検討するとよいでしょう。 例えば、住宅金融支援機構では、耐震改修・補強工事のためのリフォーム融資(耐震改修工事)というサービスを提供しています。 低金利なので、比較的利用しやすいでしょう。 また、リフォーム会社によっては提携しているローンを紹介してくれる場合もあります。 「ローン審査が通りやすいか」「どうプランを組んだらよいか」など遠慮なく相談してみましょう。
また、木造住宅やマンションの耐震リフォームを行った際、一定の条件を満たせば以下のような減税制度が適用される場合があります。
【住宅ローン減税】 ・ 10年以上の住宅ローンがある場合 ・ 最長10年間、ローン年末残高(上限4,000万円)の1%を所得税から控除
【所得税の減税(投資型)】 ・ 上限25万円(1年) ・ 住宅ローンの有無に関わらず申請可能 ・ 標準的な工事費用相当額の10%を所得税から控除
【固定資産税】 ・ 住宅の固定資産税の2分の1を軽減(1年度分、家屋面積120㎡まで)
上記のような減税制度を利用する場合は、建築士に「増改築等工事証明書」を発行してもらう必要があります。
5、耐震リフォームが必要な家とは?
次に、耐震リフォームが必要な家とはどのような特徴があるかをご紹介します。 ご自宅に当てはまるポイントはないか、チェックしてみてください。 ご自宅の状態が次の5つの当てはまるようであれば、早目に耐震リフォームを行うことをおすすめします。
① 1回の壁面積が少ない家
最も危険なのは、1階の壁の面積が少ない建物です。 大きな窓が付いていたり、1階部分が店舗のなっていたりする建物は、地震に弱い家だと言えます。 壁がないと耐震性が非常に低くなってしまうため、1階部分だけ倒壊するケースが多いのです。
② 1階と2階の外壁線が異なる家
基本的には、1階と2階の外壁が揃っている方が、建物の構造上安定します。 特に、2階が飛び出ており、その重みを1階部分で支えている家は耐震性が低いと言えます。 一見すると、1階が大きい建物は安定するように思われがちですが、2階の外壁の下に壁がない場合には、家全体に負担がかかってしまうのです。
③ 軟弱な地盤に建っている建物
地盤が弱い土地に建っている住宅も耐震性が低いです。 地盤が軟弱だと、地震の時に建物の揺れが大きくなります。 そのため、一般的な建物よりも耐震性の高い住宅に仕上げなければなりません。
④ 吹き抜けの家
大きな吹き抜けがある家も注意が必要です。 建物を支える床面積が不足していると、水平方向の揺れに弱い場合があるためです。
⑤ 1981年以前に建てられた家
1981年の建築基準法改正前に建てられたお家は、特に耐震性が低い可能性があります。 能登半島地震の際も、倒壊した家屋の多くが建築基準法改正前に建てられたお家だと言われています。 このため、ほとんどの自治体で1981年以前に建築された住宅に対して、耐震診断・改修の補助金制度を設けています。
なお、最新の耐震基準は2000年に改正されています。 一般住宅においては、1981年6月1日に導入された震度6強~7程度の揺れに耐えうる住宅の建築基準が適用されています。 さらに、2000年からは木造住宅の地盤調査や、柱が土台から抜けないように施工するといった規則が追加されました。 つまり、2000年以降に建てられたお家であれば、耐震性や断熱性が確保されている可能性が高いと言えます。
6、まとめ
今までご自宅の状態や耐震性を気にしていなかった方も、能登半島地震をきっかけに今1度ご自宅の状態を確認してみましょう。 ご自宅の耐震性に不安を感じられた場合は、専門業者に点検してもらうことをおすすめします。 今回の能登半島地震に耐えたとしても、次に大きな地震が来た時にも耐えてくれるとは限りません。 大切なお家に長く安心して暮らせるように、ご自宅の環境を整えておきましょう。
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