1、はじめに
新築の頃は綺麗だった外壁も、10年程度経過すると色あせたりはがれたりするためメンテナンスが必要となります。 しかし、外壁塗装は費用負担が大きいため、ついつい後回しにしてしまいがちです。 お家を風雨から守る機能を持つ外壁の劣化は、家屋の寿命を縮めてしまう可能性があります。 そのため、経済的な理由で外壁のメンテナンスができないということがないよう、外壁塗装には公的なサポートがいくつか設けられています。 その1つが「住宅借入金等特別控除」です。 今回は、「住宅借入金等特別控除」についてその条件などについてご説明します。 また、外壁塗装工事で使える住宅借入金等特別控除以外の控除についてもご紹介します。 外壁塗装の費用でお悩みの方は、ぜひ参考になさってください。
2、住宅借入金等特別控除とは?
住宅借入金等特別控除とは、「住宅ローン減税」や「住宅ローン控除」とも呼ばれ、住宅ローンの返済額や返済期間などが一定の条件を満たしている場合、所得税の控除を受けることができることです。 住宅ローンというと、家を買うとき・家を建てるときなど住宅を新規に取得するときに利用するローンであるため、住宅借入金等特別控除は「住宅を新たに取得したときだけに受けられる制度」というイメージがあります。しかし、外壁塗装をはじめとしたリフォームのための「リフォームローン」でも住宅借入金等特別控除を受けられることもあります。 住宅借入金等特別控除を受けられる基本的な期間は10年です。 そのため、住宅ローンを利用して中古住宅を取得した場合は、住宅借入金等特別控除を受けている期間中にリフォームローンを組んで外壁塗装を行うことがあります。 このような場合、住宅ローンとリフォームローンでそれぞれ控除を受けることが可能です。 また、新築住宅の場合は、住宅ローンの控除期間が終了してからリフォームローンを利用して外壁塗装を行うといった場合も控除を受けることができます。
3、住宅ローン減税の控除を受けられる7つの条件
次の7つの条件を満たしている場合、住宅借入金等特別控除を受けることができます。
① 本人が居住する住宅で行う工事であること
別居している両親の住宅や別荘など、本人が日常的に居住していない住宅に行う工事は控除の対象になりません。 控除を受けられるのは、控除を受ける本人が居住している住宅で行う工事のみです。
② 主要構造部の工事費用が100万円を超えること
主要構造部とは、建築物の構造上重要となる壁・床・はり・屋根・階段のことで、住宅借入金等特別控除を受けるには主要構造部の工事費用が100万円を超えることが条件となっています。 通常外壁塗装は主要構造部の工事に該当しませんが、住宅借入金等特別控除の場合は該当すると定められています。 したがって、外壁塗装の工事費用が100万円を超えていれば、住宅借入金等特別控除を受けることができます。なお、外壁の面積などによっては工事費用が100万円を下回ることがあります。 このような場合、外壁と屋根を両方塗装したり、施工単価が高いフッ素塗料を使用することで条件を満たせる可能性があります。 ただし、工事費が100万円を超えるよう調節して控除を受けるより、100万円未満に抑えて控除を受けない方が得になる場合もあるため、どちらが得であるかなどを検討する必要があります。
③ 年間所得額が3000万円以下であること
住宅借入金等特別控除を受ける年の所得合計が3000万円以下であることも条件の1つです。 これは、控除を受ける当人が様々な控除を受けた後の金額です。
④ 工事を行う面積が50㎡を超えていること
塗装工事の面積が50㎡未満の場合、控除を受けることができません。
⑤ ローン返済期間が10年以上であること
住宅借入金等特別控除の控除期間は10年です。 そのため、返済期間が10年よりも短い場合は、控除の対象となりません。
⑥ 控除対象となる金融機関のローン商品であること
親族などからお金を借りた場合や、職場の従業員向け貸付制度、一般的な金融機関以外のローンなどは控除対象になりません。 住宅借入金等特別控除を受けたいと考える場合は、利用しようとしているローン商品が控除対象となるか事前に確認しておきましょう。
⑦ 耐震基準を満たしていること
中古住宅で住宅借入金等特別控除を受ける場合、鉄筋コンクリート造などの耐火建築物は築年数25年以内、木造など耐火建築物でない場合は築年数20年以内であることが条件です。 ただし、「耐震基準適合証明書を取得」「住宅性能評価書(耐震等級1以上)を取得」「既存住宅売買瑕疵保険に加入」のいずれかを満たしている場合は、築年数が25年、または20年以内でも控除対象になることがあります。
4、住宅借入金等特別控除を受けるために必要な手続きと書類
外壁塗装で住宅借入金等特別控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。 自動的に控除を受けられるわけではないので、注意が必要です。 なお、会社員などで年末調整を受けている場合、確定申告が必要なのは最初の1年目のみです。 2年目以降は確定申告を行う必要がありません。
【手続きに必要な書類】
① 増改築等工事証明書
増改築等工事証明書は施工業者に発行してもらう書類で、作成するためには登記簿の写しや間取り図、施工前の工事写真などが必要です。 また、証明書の発行には手数料がかかりますので、住宅借入金等特別控除を受けたいと考えている場合は、増改築等工事証明書を発行してほしいことを施工業者に伝え、どのような書類が必要かを確認し、証明書発行手数料も含めた見積書を作成してもらいましょう。
② 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
住宅借入金等特別控除額の計算明細書は、税務署または税務署のホームページから入手することができます。 必要事項を記入し、申告書と一緒に提出しましょう。
③ ローンの残高を証明するもの
住宅借入金等特別控除額の控除額は、年末時点のローン残高に応じて計算されます。 金融機関が発行する「年末残高証明書」など残高を証明する書類を提出しましょう。 生命保険料控除証明書などと同様に秋ごろ発行されるため、確定申告の時期まで紛失しないように保管してください。
④ 登記事項証明書または登記簿謄本
登記事項証明書または登記簿謄本は法務局で発行してもらえます。 建物の床面積や月年数などが記載されており、住宅が控除を受ける条件を満たしているかどうかを判断する基準となります。 なお、登記事項証明書は家屋と土地の2通りに別れていますが、外壁塗装で住宅借入金等特別控除額を受ける場合は家屋の登記事項証明書が必要となります。
⑤ 給与所得の源泉徴収票
会社員の方で年末調整を受けている場合、源泉徴収票が必要になります。
⑥ 補助金額を証明するもの
自治体が行っているリフォーム補助金制度などを利用した場合、工事費用から補助金額を差し引いた額で申告を行う必要があります。 そのため、補助金が給付された場合は補助金額を証明する書類を合わせて提出する必要があります。
5、住宅借入金等特別控除以外の控除
外壁塗装を行ったときに受けられる控除には、住宅借入金等特別控除のほかに雑損控除が挙げられます。 雑損控除は、所有する資産が控除対象をなる損害を受け、その補修を行ったという条件を満たしていれば納税者本人、および納税者と家計をともにし、かつ総所得金額が38万円以下の配偶者や親族が受けられる控除です。雑損控除の対象となるのは、震災・風災・水災・落雷・冷害・雪害、地震といった自然現象による異常な災害、火災や爆発などによる延焼などです。 おおむね火災保険が適用される損害は、雑損控除の対象になると考えてもよいでしょう。 経年劣化した外壁の塗装は控除対象外です。 住宅借入金等特別控除では築年数や面積、工事費用など細かな条件が定められていますが、雑損控除は損害内容が控除対象に当てはまれば築年数や工事費用などに関わらず受けることができます。 住宅借入金等特別控除の条件に当てはまらないけれど、雑損控除の対象になるという場合は、確定申告をして控除を受けておきましょう。
また、リフォームの際に利用できる減税制度としてリフォーム減税があります。 リフォーム減税は住宅ローンを組まずにリフォームをした場合にも利用できます。 ただし、原則として住宅借入金等特別控除とリフォーム減税は併用することができません。 また、リフォーム減税内でも複数の工事を行う時は併用ができないケースがあります。 住宅借入金等特別控除が使える場合、これを第一選択をする方が多いですが、工事の内容や費用によっては住宅借入金等特別控除よりもリフォーム減税を利用する方が控除額が大きいことがあります。 どちらを使うべきか、よく検討しましょう。 リフォーム減税の適用対象となるのは、耐震・バリアフリー・省エネ・同居対応・長期優良住宅化です。 このうちのいずれかのリフォームをした際に、対象となる工事にかかった費用の10%が翌年の所得税から控除されます。 対象となる工事費用はそれぞれ限度額が設けられていますが、限度額をこえてしまった部分も5%が控除されます。 また、対象工事と同時に行うその他の工事についても5%が控除されます。
6、まとめ
外壁塗装で住宅借入金等特別控除を受けるためには、控除を受けられるローン商品を選ぶことや、施工内容や施工額などが控除の条件を満たしていること、増改築等工事証明書を発行してもらうことが重要なポイントです。施工業者を選ぶときは、住宅借入金等特別控除などの減税制度に詳しい業者を選ぶと安心して施工や申請を行うことができます。
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