1、はじめに
新型コロナウウィルスの感染拡大や原油価格高騰、ウクライナ情勢などが原因で、影響を受けている製品やサービスが日々増え続けています。 食品やガソリン価格の高騰はニュースでもよく取り上げられ、身近な問題となっています。
実はリフォーム業界も2021年夏頃から影響をうけています。 コロナウウィルスからの回復感からアメリカ・中国の新築着工数が増加し、木造需要が高まったことに端を発したウッドショックですが、今やその影響は木材にとどまりません。
リフォームに必要不可欠な塗料の主原料は石油のため、その価格の影響を大きく受けます。 2021年から塗料の価格改定が大幅に進んでいます。 今回は、なぜ価格改定がされているのか、どれくらいの値上げなのかなどをお伝えしていきます。
2、外壁塗装は今後も値上げが進む
2021年夏頃より大手塗料メーカーが順に価格改定を発表しました。 塗料の価格改定の理由は、塗料を作る上で必要不可欠な樹脂や顔料などの需要と供給のバランスが崩れているからです。 コロナショック以降、樹脂工場地域のロックダウン、各国の物流制限や製造停止、プライチェーン(製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までの全体の一連の流れ)の混乱、労働力不足、物流の制約、部品の配給制限、企業の流動性の低下などが業界に悪影響を与えています。 樹脂の配給元や関連ビジネス、買い手のお客様は今後このあおりの影響を受けることになります。 さらに材料費の高騰だけでなく、運送費も世界全体で高騰しているため、より価格改定の幅が広がると予想されます。 価格改定の先手を切ったのは、業界最大手の日本ペイントと関西ペイントでした。
■ 日本ペイントの価格改定 ① シンナー :15~20% ② 溶剤系塗料 :10~15% ③ 水性塗料、表面処理剤関係:8~12% ④ 運賃 :10~30%
■ 関西ペイントの価格改定 ① 塗料類 :10~20% ② シンナー類:15~20% ③ 運賃 :10~15%
上記2社以外にも、アイカ工業やスズカファインなども価格改定を行っています。
さらに日本ペイントと関西ペイントの大手2社は、2022年4月から2回目の価格改定が実施されています。 ■ 日本ペイント ① シンナー :30~35% ② 溶剤系塗料:15~25% ③ 水性塗料 :10~15% ④ 粉体塗料 :5~10% ⑤ 運賃 :10~30%
■ 関西ペイント
① 塗料類:15~30% ② シンナー類 20~40%
1年で2回の値上げ… 今後も塗料の値上がりが進むことが予想されます。 外壁塗装の価格改定は大きな痛手ですが、それよりも深刻なことが起こりつつあります。 それは材料が入手できないことです。 現在、各社品物の不足による出荷停止や品物の不足による遅延などが起こっています。 外壁塗装で人気の日本ペイントの「パーフェクトトップ」はすでに一時配給停止を行っています。
3、屋根リフォームにも値上がりの可能性
また価格高騰は外壁塗装だけでなく、屋根リフォームにも影響してくることが予想されています。 コロナショックで輸入関係の制限や需要の増加により、鉄の板(鋼板)などが値上がりする「アイアンショック」が起きているため、建材全体が値上がりする可能性があります。 「アイアンショック」は昨年から中国で鉄鉱石の需要が拡大し、高値で大量に買い取っていることが原因と言われています。 例えばキッチンや窓サッシ、エアコンなどの設備関係、基礎補強で使う鉄筋、小さな物で言うと釘や固定ボルトまで20~30%値上がりしています。 そのため、今後お家をリフォームする場合は、材料費が値上がりする関係で工事費用も一般的な工事費用よりも高くなることが予想されます。
鋼板メーカーの値上げも頻繁に行われるようになってきました。 昨年2021年8月には金属サイディングの最大手メーカーであるアイジー工業をはじめ、金属建材メーカーが相次いで値上げを発表しました。 過去30年間でも最も大きな値上げ幅で、業界関係者に大きな衝撃を与えました。 そして、EV車の急速な普及により鋼板用フッ素の多くがEV車の製造用の素材として供給され、金属建材で用いられるフッ素が供給されない事態になりました。 フッ素塗膜の鋼板は現在ゼロとはなりませんが、将来的には供給がかなり抑えられる状況です。 そのような背景がある中、2022年4月に金属屋根と金属サイディングの値上がりがアイジー工業から発表されました。 アイジー工業は戸建て住宅の金属屋根および金属サイディングのトップメーカーです。 アイジー工業の値上げ発表により、他のメーカーも足並み揃えて値上げをする見込みです。 昨年2021年もアイジー工業の値上げを皮切りに、他のメーカーも値上げを発表しました。
また、次世代ガルバニウム銅板のSGLを販売している日鉄鋼板も、2022年3月出荷分から建材薄板製品の追加値上げを発表しています。 ガルバニウム鋼板などの鋼板製品と軽量形鋼などの鋼板加工製品は、トン当たり15,000円、サイディングや波板などの建材は3~5%のの値上げがされます。 鋼板加工製品は加工工賃の改善も行う方向で進めており、昨年からの累計値上げ幅は鋼板製品でトン当たり20,000円になっています。 他にも建材薄板メーカーのJFE鋼板は、2022年1月末に3月出荷分からガルバニウム鋼板などの鋼板製品を10~15%値上げすると発表しました。 その後3/10には住宅用の金属屋根材(ガルバニウム鋼板など)とそれに関連する部材について4/1から5%値上げすることを決め、追加の値上げとなりました。 3月4月と値上げが続き、累計20%の値上げになります。
鋼板の価格が値上げしている理由としては、主原料の鉄鋼が世界的に高騰していることに加え、亜鉛やアルミなどの原料も上昇したためです。 各社メーカーは経費削減などに努めていますが、価格の値上げは避けられないとしています。 工務店やリフォーム会社からもこのような状況に不安を抱える会社も少なくありません。 ガルバニウム鋼板やSGL鋼板は耐久性が高く、施工性も良いことから人気が高い屋根材です。 屋根のリフォーム時にガルバニウム鋼板へ葺き替えたいという方も多くいらっしゃいます。 これからも追加で鋼板の値上げが起こると、工務店やリフォーム会社も工事にかかる材料費の価格を上げざるを得えません。 そのため、今後ガルバニウム鋼板に葺き替えやカバー工法をする場合の工事費用が高くなる可能性があります。
4、まとめ
今後もこの高騰の波は続くことが予想されます。 塗料を作る上で重要な樹脂は、自国に優先的な出荷するようになるため、日本に出荷される数は圧倒的に少ないと言えます。 また、国内の樹脂製造工場を閉鎖する工場も出てきています。 外壁・屋根リフォームにも価格改定の影響が出てくることが予想されます。 外壁・屋根のリフォームを検討されている方は、値上げが進む前にお早目にリフォームされることをおすすめします。
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