1、はじめに
外壁にツタのあるお家を見かけることがあります。 「夏の暑さを軽減したい」 「自宅にアクセントをつけたい」 「外壁を植栽で飾りたい」 このように、外壁の緑化をツタで行いたいとお考えの方もいらっしゃるかと思います。 ツタによる外壁の緑化は大掛かりな設備が必要なく、成長も比較的早いことが特徴です。 その反面、季節ごとのメンテナンスが欠かさず、役目を終えたと時の除去に手間がかかります。 今回は壁面の緑化にツタを使った場合のメリットとデメリット、撤去するときのポイントなどをご紹介します。
2、外壁にツタを生やすメリットとデメリット
外壁にツタを生やすメリットとデメリットを把握すると、ご自宅に必要な工事方法が把握できます。 費用を抑えるためには、メリットとデメリットを把握しておくことが重要です。 外壁にツタを生やすメリットは次の2つです。
【外壁にツタを生やすメリット】
① 室温上昇を抑えられる
ツタを生やすメリットの1つは、室温上昇を抑えられることです。 夏の西日は強烈で、西側の部屋は夜中になっても暑いままという経験をされた方も多いでしょう。 そんな強烈な西日を受ける部屋であっても、ツタを外壁に生やせば室温の上昇を抑えることができます。 ツタが西日を遮り、壁に当たる日差しを軽減してくれるのです。 一方で、冬場はツタが落葉するので、西日が遮られず室温が保たれるというメリットもあります。 自然の摂理を活かした緑のカーテンができあがります。
② 独特なデザインの住宅にできる
2つ目は独特なデザインの住宅にできるということです。 新築が並ぶ住宅街では、ちょっと目立つような独特のデザインが欲しくなります。 そんな時には外壁にツタを生やすのも有効です。 壁一面緑に覆われた外壁は、お家の前を歩く人の目をひきます。 ツタの葉は季節ごとに色が変わるため、春には新緑が萌え、秋には紅葉し真っ赤に染まる四季を活かしたデザインに仕上がります。
次にツタを生やすデメリットもご紹介します。 デメリットは次の2つです。
【外壁にツタを生やすデメリット】
① ツタのメンテナンスが大変
外壁にツタを利用した時に大変なのがメンテナンスです。 ツタはとても丈夫な植物です。 地面に植えれば、よほどのことがない限り枯れ落ちることはありません。 ツタはカエデやイチョウ同様、紅葉を楽しむことができます。 しかし、その後に落葉してしまうのです。 この落ち葉の掃除が思いのほか大変です。 地面に落ちた葉もそうですが、風に舞って雨樋に詰まることもあります。 また、夏には虫が発生します。 生い茂る葉は、虫たちにとっては絶好の隠れ家となるでしょう。 植物を住み処とする小さな虫から、その虫を餌とするハチやトカゲなど様々な生き物が集まってしまいます。 また、ツタを生やすとカビの発生が気になる場合があるかもしれません。
② 外壁が劣化しやすくなる
外壁に生えるツタは、吸盤と気根を使って壁に張り付きながら成長し、最終的には壁一面にツタを張り巡らせるほど育ちます。 この吸盤と気根が外壁を劣化させる要因です。 外壁の小さな凹凸やすき間などに張り付いて成長してしまうため、外壁材を傷めたりシーリング部に目を張って劣化させたりします。
3、外壁に生えたツタを除去したい時は?
ツタを取り除いて外壁を綺麗にする場合は、「ツタのみを取り除く」か「壁全体を塗り替える」かを考えなければなりません。 それぞれのメリットとデメリットもご紹介します。
① ツタの除去だけをする
ツタの除去だけをするメリットは、費用が安く済むことです。 デメリットは、吸盤の跡が残ってしまうことです。 ツタの除去作業を行っても、完全に撤去はできません。 吸盤や気根は外壁自体に根を張っているため、完全に取り除くことができないのです。 除去だけをする工事は、ツタで覆われた外壁が気になるけれど除去にお金をかけたくない人に向いているでしょう。
② ツタを除去して外壁を塗装する
ツタを除去してから吸盤の跡まで取り除きたいのなら、外壁塗装が必要になります。 ツタを除去して外壁塗装をするメリットは、吸盤や気根の跡が消されて綺麗にできることです。 しかも、吸盤や気根で傷んだ外壁自体も補修するため、劣化対策になります。 デメリットは、ツタの除去だけをする場合より費用がかかってしまう点です。 外壁塗装は、ツタを除去しても外壁の汚れが気になる方に向いているでしょう。
実際にツタを除去する場合、ご自身で行うか業者に頼むかによって時間と費用が異なります。 除去方法は後から詳しくご説明しますが、何より問題なのは高いところまでツタが繁殖してしまった場合です。 1階の窓の上くらいなら、ご自身で脚立を持ってきて除去するのは簡単です。 しかし、2階の窓や軒天などの高い場所までツタが繁殖してしまうとご自身では除去しきれません。 こうなると、業者に依頼するしかなくなるでしょう。 業者へ依頼した場合、足場を組んで作業をします。 その費用は、30坪の2階建て住宅で南壁一面をツタが覆われている場合、約21万円が必要となります。 内訳は、足場代が12万円、除去費用が9万円です。 実際にはツタを除去する面積が広かったり、建物の下屋があったりすると費用が加算されます。 さらに、ツタを除去した後はどうしても吸盤が残ってしまいます。 吸盤跡を綺麗にするために外壁塗装をする場合、上記に加えて20万円ほど必要となるでしょう。
4、外壁のツタを除去する3つの手順
外壁のツタを除去する具体的な手順は以下の通りです。 手順を把握すれば、業者に依頼した場合適切な工事をしているかどうかを判別しやすくなるでしょう。
① カワスキでツタを除去する
最初の手順として、カワスキでツタを壁からはがしていきます。 カワスキとは、金属製のヘラのことです。 ツタは吸盤や気根によって壁に付着しているため、引っ張ってもなかなかはがれません。 ツタのツルに沿ってカワスキを入れて壁からはがします。 できる限りツルの細かいところまで取り除くことがポイントです。 このとき、吸盤まで無理に除去しようとすると外壁を傷めてしまうので注意が必要です。
② バーナーでツタを焼く
カワスキでは取り切れない吸盤や気根をバーナーで焼いていきます。 バーナーで焼ききりますが、長い間火を1カ所に当てていると外壁自体が焦げたり変色するため、タイミングの見極めが肝心です。 最近は火災防止のためにバーナーではなく、水を利用した高圧洗浄で除去することも多くなりました。 ただし、高圧洗浄よりはバーナーで焼いた方が早く綺麗に除去できるでしょう。
③ 除去した跡を塗り替える
バーナーで焼いても、高圧洗浄で除去しても吸盤跡は残ります。 外壁の微細な穴に吸盤の根が入りこんでしまっているからです。 こういった場合は、無理に取り除くと外壁を傷めてしまいます。 外壁を綺麗にしたいのであれば、塗装が必要となるでしょう。 もしかすると、最初から外壁の塗り替えを検討される方もいらっしゃるかもしれません。 塗り替えをする場合でも、ツタは綺麗に除去しなければなりません。 中途半端にツタを剥がすと、塗装した後に目立ってしまいます。
5、まとめ
当初は綺麗に生えそろって役割を担ってくれたツタ。 役割を終えていざ除去しようと考えると、想像以上に手間がかかります。 除去する際は、ツタの吸盤と気根が邪魔します。 外壁の細かなすき間まで入り込んだ吸盤や気根は、除去しきれるものではありません。 跡を残さず完全に除去して元通りの外壁にしたいのなら、外壁塗装をすることが望ましいでしょう。
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