塗装に使われるシーラーとは?役割・種類・重要性を解説

1、シーラーとは

①「シーラー」は「seal」=「シールする・接着する・覆いつくす・塞ぐ」という英語が語源になっている用語です。塗装するときには塗装面の下地処理をしてから仕上げ塗料を塗る必要があります。この下地処理で使用される下塗り用塗料がシーラーです。シーラーは下地の素材・状態・使用する仕上げ塗料に合わせて適切なタイプを使用することが大切です。

②シーラーのように下地処理の際に使用される塗料には「プライマー」があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

【プライマー】

プライマーは「primary」=「最初の」という英語が語源になっている用語で「初めに塗る塗料」として下塗り塗料の総称です。プライマーの主な役割は塗装面と上塗り塗料との密着性を高めることで防錆プライマー(錆止め塗料)などの種類があります。プライマーは塗装面に塗布して機能を持たせシーラーは下地に吸い込ませて機能性を持たせる違いがあると言われています。しかし正しい定義はなく一般的にはシーラー・プライマーは同じものとして扱われているケースも多いようです。

【フィラー】

フィラーは「filler」=「詰め物・埋めるもの」という英語が語源になっている用語でモルタル外壁のひび割れや凹凸を埋めて下地を滑らかにするための補修用の下塗り材です。フィラーは水性タイプしかなく塗布量が多くなる「鎖骨(さこつ)ローラー」を使って厚く塗ります。フィラーにはシーラーとフィラーの機能を兼ね備えた「微弾性フィラー」などの種類もあり

2、シーラーの役割

①塗装面と上塗材との密着性を高める

外壁塗装工事や屋根塗装工事を行うとき塗装面と仕上げ塗料の接着が悪いと塗膜が剥がれるなどの劣化が起こりやすくなります。シーラーを先に塗ることで接着剤のような役割をして塗装面と中・上塗り塗料との密着性を高めます。

②塗装した際の塗料の吸い込み抑える

シーラーはサラサラとして粘り気がないのが一般的です。シーラーを最初に塗って吸収させることで中・上塗り塗料の吸い込みを防ぎます。塗装面に傷みがある場合は塗料の吸収が激しくなるため必要に合わせて2度塗装するケースもあります。

③塗装面の下地を補強する

シーラーは下地の中に浸透していくため劣化した下地を補強する役割もあります。塗装面となる外壁材や屋根材は住宅状況や経年によって劣化が起こります。塗装というと仕上げ塗料の色や機能ばかりに注目してしまいがちですが耐久性を維持するには下塗り塗装はとても大切な工程です。シーラーは塗装面の劣化状況によって適した種類が違うので塗装工事の際にはどのタイプのシーラーが向いているのか業者に判断してもらいましょう。

3、シーラーの種類

①水性タイプ

水性タイプは下地に浸透したあとにシーラー内の水分が蒸発して塗膜を形成します。劣化が激しい下地は吸収性が高いため浸透性が悪く補強効果も低くなる傾向があります。そのため水性タイプは劣化が少ない下地への使用向いています。また臭いが少ないため室内塗装にも適しているのが特徴です。塗装工事を行う際はシーラーと同じタイプの上塗塗料を使うのが基本となります。そのため水性タイプのシーラーの場合は上塗塗料も水性塗料を一緒に使うのが一般的です。ただし商品によっては油性塗料が使える場合もあります。

②油性タイプ

油性タイプは溶剤シーラーとも呼ばれシーラーに含まれた溶剤が揮発して塗膜を形成します。水性タイプよりも臭いが強いデメリットはありますが浸透性が高く補強性能に優れています。劣化の激しい塗装面にも向いていて乾燥時間も短いのが特徴です。

③機能性の違うシーラーが揃っている

【ヤニ止めシーラー】

タバコのヤニや雨じみなどのシミを抑えるシーラーです。内壁や天井の塗り替えに使用する下塗り塗料で浸透性、固着性に優れています。さまざまな下地へ使用でき塗料メーカーによって透明タイプとホワイトタイプがあります。

【カチオンシーラー】

カチオンシーラーは外壁・内壁に使用できる下地塗料です。薄い塗膜を作る「造膜型」と下地内部に浸透する「浸透型」がありカラーも透明タイプとホワイトタイプがあります。浸透性・密着性・経済性に優れていて適用範囲が広いのが特徴です。ただし上塗り塗料に強溶剤型塗料を使うことはできません。

【コンクリート強化シーラー】

コンクリート強化シーラーはコンクリートやモルタルの表面を固めて塗料の吸い込みを抑え補強する下地塗料です。耐久性に優れ粉塵やホコリの発生を予防します。

4、シーラーを使う重要性

①シーラーを使わないと問題が発生する場合がある

シーラーを使用しないまま仕上げ塗料を塗ってしまうと、せっかく機能性や耐久性の高い仕上げ塗料を使っても機能が十分に発揮できない場合があります。もし塗らずにいると以下のような問題が起こる可能性があります。

1)仕上げ塗料が下地に吸い込まれて無駄にしてしまう。

2)塗りムラが発生してしまう。

3)密着力が低下して剥がれの原因となる

これらの問題を起こさないためにもシーラーが必要な場所にはきちんと塗って下地を整えることがとても重要です。

②適切な塗装・塗料選びをするのが重要

塗装工事では下地調整からしっかりと施工することが大切です。下地調整ができていないと見た目ではきれいな仕上がりであっても仕上げ塗料の機能が活かしきれず耐久性などに影響を与える可能性があります。住宅の美観を保ち長持ちさせるためにも最適な塗装や塗料選びができる塗装業者へ依頼しましょう。