1、はじめに
屋根の工事にも様々な種類がありますが、皆さんは屋根の工事と言えばどのような工事を連想しますか? 「塗装工事」や屋根材を全て撤去し張り替える「葺き替え工事」を挙げる方は多いかと思います。 今、屋根リフォームで人気な工事は「塗装工事」や「葺き替え工事」ではなく「カバー工法」です。 梅雨を迎える前に屋根のリフォームを検討されている方もいらっしゃるかと思います。 今回は今人気の屋根のリフォーム「カバー工法」について徹底解説します。
2、屋根のカバー工法とは?
屋根の「カバー工法」とは、既存の屋根材の上に防水シートと新しい屋根材を被せる施工方法のことです。 「重ね葺き」や「カバールーフ工法」と呼ばれることもあります。 屋根材を1度剥がして張り替える「葺き替え」工事を行う場合、屋根材を剥がす手間がかかります。 屋根材を撤去する必要がない「カバー工法」は、短期間に低コストでリフォームすることができることから人気を集めています。 カバー工法でリフォームした屋根の耐用年数は、約20~25年です。 メンテナンスの頻度は、葺き替えをした屋根同様10年に1度です。 ただし、1度カバー工法を行った屋根の上に再度カバー工法を行う例があまりないため、今後長くお住まいになる場合は「20~25年後には屋根を撤去する必要がある」という点を考慮する必要があります。
3、屋根のカバー工法のメリットとデメリット
屋根の葺き替え工事のように既存の屋根材を撤去することがないため、廃材費や人件費の節約、工事日数が短いなどのメリットがありますが、もちろんメリットもあればデメリットもあります。
まずは屋根カバー工法のメリットを4つご紹介します。
① 解体費用や廃材処理費の節約が可能
屋根カバー工法を行う場合、解体と廃材処理が必要になるのは棟板金くらいです。 そのため葺き替えなどと比べて工事費用が安くなります。 また、2004年以前に施工されている建築部分の建材にはアスベストが含まれてたものがあります。 アスベストが含まれている建材は環境負荷が高く、解体も難しいため、解体費用や廃材処理費が高額になります。 そのため廃材がほとんど出ない屋根カバー工法は、このようなアスベストを含んでいる可能性のある築年数の長い屋根にはおすすめです。
② 工事期間が短い
葺き替え工事の場合は古い屋根材を撤去する際に養生をする必要がありますが、カバー工法では省略することができます。 通常葺き替え工事は7~30日程度の工事期間ですが、カバー工法の場合は5~14日でリフォームが完了します。
③ 工事の際の騒音やホコリ・チリのトラブルも少ない
葺き替え工事の際は、騒音やホコリが発生してしまうため近隣にお住まいの方とトラブルになってしまうケースがあります。 カバー工法であれば工事中に騒音やホコリが発生するリスクが少ない上、工期が短いため近隣の方にあまり迷惑をかけずに工事を行うことができます。
④ 断熱性・遮音性・防水性が向上する
既存の屋根材と新しい屋根材の二重構造になるので、断熱性・遮音性・防水性がアップします。
次にデメリットも4つご紹介します。
① 屋根のカバー工法を施工できない屋根もある
カバー工法は、基本的にスレートや軽量金属屋根などのような平板の屋根材の上であれば施工可能です。 波型の形状の屋根や厚みがある屋根材の上には固定することが難しいため、陶器やセメントで作られた日本瓦の屋根にはカバー工法を施工することができません。 瓦は他の屋根材よりも重量が重いため、その上に新しい屋根材を被せるとさらに重量が増し、耐震性などにも影響が出てきます。
② 劣化状況により施工できないことも
屋根の下地や内部が劣化している場合は、劣化部分を補修する必要があります。 補修せずに屋根カバー工法を行うと、その下地の劣化をそのまま放置してしまう状態になります。 そうなると雨漏りなどの不具合を引き起こす可能性も高くなります。 雨漏りが発生した場合は早急に補修する必要があり、手間もメンテナンス費用も2倍かかってしまいます。
③ 耐震性に影響する可能性がある
既存の屋根材に新しい屋根材を被せるため、屋根の重量が増え耐震性が少々低下します。 もちろん新しい屋根材は軽い金属屋根を使用することが一般的ですが、それでも屋根の重量は増えるため、地震が多く発生している地域にお住まいの方は耐震性を考慮した上で屋根工事を行うことが必要があります。
④ 火災保険を利用できない可能性が高い
強風や雪の影響で屋根が破損してしまったり、雨漏りが発生した場合に火災保険を利用して屋根を修繕したい方もいらっしゃると思います。 火災保険の対象となるのは、原則として「強風や雪の被害に遭わなかった場合の状態へ戻す」ための工事です。カバー工法の場合は火災保険を申請できない可能性が高いでしょう。 特に雨漏りが発生している場合は、下地が劣化している可能性が高いためカバー工法ではなく葺き替え工事を検討するべきでしょう。
4、屋根カバー工法の施工手順
① 棟板金の撤去
屋根の頭頂部にある棟板金と棟板金の下地になる貫板を撤去していきます。 設置されていれば雪止めも撤去していきます。 すべてを撤去した後、既存の屋根の清掃を行います。
② ルーフィング工事
元々ある既存屋根材の上にルーフィングシートを設置していきます。 このルーフィングシートが雨水の侵入を防ぎます。
③ 屋根材の設置
新しい屋根材を設置していきます。 一般的に使用されるのはガルバニウム鋼板を使用した金属屋根材です。 軽量な屋根材を使用することで地震対策にもなります。
④ 貫板の設置
屋根材設置完了後は貫板を設置します。
⑤ 棟板金の設置
貫板の設置完了後は棟板金を設置していきます。 最後に清掃をして工事完了です。
屋根の塗装工事に必要な「塗料の乾燥」、葺き替え工事に必要な「既存の屋根材の撤去」の工程がないため工期も費用も抑えることができます。
5、カバー工法よりも葺き替え工事が適しているケース
これまでご紹介してきたとおり、短期間で低コストでリフォーム可能なため人気のカバー工法ですが、カバー工法で施工できないケースもあります。
・ 日本瓦など重さや波がある屋根で、新しい屋根材を固定することが難しい場合
・ 下地が劣化している場合や、雨漏りが発生している場合
・ 火災保険を利用して修繕したい場合
・ 長期に渡る耐久性を求める場合
・ 1度カバー工事を施工している場合
上記の場合はカバー工法ではなく葺き替え工事の方が適しています。
6、まとめ
屋根カバー工法の特徴やメリットとデメリットを照らし合わせた上で、あなたの家に合った屋根リフォームを選択しましょう。 弊社はお客様のお家を屋根を点検し、ご希望に合った屋根リフォームをご提案しております。 ご相談・見積もり無料ですので、お気軽にお問合せください!