1、はじめに
外壁リフォームで必ず必要な設備と言えば、建物の周りに組む足場です。 一般的に、足場代は外壁塗装の費用の2割を占めると言われていますが、安全に作業を行うためには決して省くことはできません。 外壁リフォーム工事の立役者とも言える足場ですが、労働安全衛生規則の改正に伴い、2024年4月1日より幅が1m以上ある箇所に足場を設置する場合、原則として本足場を設置することが必要となりました。 それによって、4月からは足場代が値上がりします。 しかし、一口に「足場代が値上がり」と言っても、足場代に関する知識がなければなかなかピンと来ない方も多いのではないでしょうか? 足場には特徴が異なる様々な種類があり、設置した足場の種類と組んだ面積によって価格は変動します。 今回は、それぞれの種類の費用相場や通常の方法で足場が設置できないイレギュラーなケースなど、法改正前に知っておきたい足場に関する基礎知識をご説明していきます。
2、足場の種類と費用相場
あくまで目安ですが、戸建住宅の外壁リフォームにおける足場費用(組立・解体費用)の相場は、600~850円/㎡です。 一般的な2階建ての住宅の場合は、足場代の費用相場は約20万円ほどと言われています。 見積もりの形式によっては、足場設置費用は「仮設足場」「仮設工事」と記載されていることもあります。 そのほか、設置される足場の種類が記載されていることもありますので、ここでは足場の種類と価格相場についてご説明いたします。
足場にもいろいろな種類があります。 以下は一般的な足場の分類で、同じ足場でも業者によって別の名前で呼ぶこともあります。 足場は工事を行うお家の大きさや立地によって種類が使い分けられており、それぞれ費用相場にも違いがあります。 ご自宅の外壁リフォームでどの足場が使われているのか、見積もりの内容を見るときは確認しておきましょう。
① 単管足場
縦方向と横方向に単管を組み合わせて作る足場で、抱き足場とも呼ばれます。 水平方向に伸びた2本の単管パイプに乗って作業するため、足元が安定せず耐久性も低く危険度の高い足場です。 ただし、設置費用は650~800円/㎡と安く、作業スペースが少しで済むため、隣の建物との距離が狭い現場で限定的に使われます。 なお、単管のみの足場に対し、水平方向に棚が取り付けられたものを棚足場と呼びます。
② 単管ブラケット足場
単管でできた枠組みにブラケットで棚を取り付けた棚足場のことです。 単管足場より足元が安定しますが、設置に時間がかかります。 費用相場は、800~900円/㎡です。
③ ビケ足場
戸建住宅の外壁リフォームでは最も主流の足場で、クサビ式足場と呼ばれることもあります。 ハンマーでくさびを叩いて固定して組立ます。 設置が比較的スムーズで強度が高く、広めの棚がスペースに優れた足場として選ばれています。 費用相場は、850~1,000円/㎡です。
④ 枠組み足場
タテヨコの建枠・斜めの筋交い・布板・ジャッキで構成された足場で、ビティ足場ともよばれます。 建枠が溶接されているため強度が高く、高い位置まで組み立てられることからビルの工事などで使われています。 そのほか、ビケ足場が組めない高層の戸建て住宅で使われることもあります。 費用相場は、1,000~1,500円/㎡です。
⑤ 移動式足場
短期間の工事や大きな倉庫や工場の作業で使われることが多く、戸建住宅ではほとんど使われない足場です。 枠組み・作業台・手すりのワンセットにキャスターが取り付けられ移動できるようになっており、ローリングタワーと呼ばれることもあります。
足場の種類や設置する面積が異なれば、外壁リフォームの費用は大きく変わります。 もし、2つの業者に見積もりを依頼して「足場代が全く違う」と感じたら、足場の種類や設置面積を比較してみるとよいでしょう。 見積もりに記載されている設置面積までチェックし、大雑把に計算されていないかよく確認しておきましょう。
3、足場の2つの組立方法
次に、足場の組立方法によってもいくつかに分類されます。 ここでは、特に今回の法改正に関わってくる一側足場と二側足場の違いについてご説明していきます。
① 一側足場
一側足場は、建設現場で設置される単管足場の1つです。 名前の通り、1本の支柱にブラケットを取り付けて張り出させ、その上に作業板を並べた足場のことを指しますが、あくまでも足場の形式を表す言葉で、例えば丸太を使う場合は「一側丸太」、単管を使う場合は「一側単管足場」と呼ばれます。 限られた設置スペースに適した足場なので、狭小地などの現場に最適です。 手すりがない構造のため、足場内での作業がしやすく、また使用する柱などの本数を状況に応じて減らすことができます。 二側足場より安定度や耐久性が低いものの、作業能率の短縮が見込めるメリットがあります。
② 二側足場
一側足場が1本の支柱を軸に設置するのに対し、縦方向の支柱を内側と外側に2本設置し、その間に作業板を渡した足場のことを二側足場もしくは「本足場」と呼びます。 2本の支柱の間に板を並べるタイプの足場なので、十分な作業床を確保する際に組まれるのが特徴です。 幅の広い足場を設置できますので、作業効率を高められます。 敷地に余裕がなければ設置が難しいため、十分な設置スペースの確保が必要です。
4、法改正により足場代が値上がりする理由
2024年4月1日から足場に関する法律が改正されますが、これは施工時の安全性を高めるために行われます。 昨今、建設業界では高所作業中の墜落・転落事故が相次いでおり、死亡事故も多数発生していることから対策が急がれていました。 先述の通り、法改正後は幅が1m以上の場所で足場を使用する場合、原則として本足場を使用しなければいけなくなります。 現在は一側足場の使用が認められていますが、安全性を考慮し、一側足場よりも足場の部材が多く組み方も複雑な本足場の使用が義務化されるのです。 これにより高所作業における安全性が増し、事故防止につながります。
一方で、本足場を使用することにより足場代は値上がりされることが予想されます。 本足場を使用する範囲が必然的に増えることで、足場を組む際に必要となる部材が大きく増えることになります。 そうなると、これまではトラック1台で運搬できていたものが、トラックの積載量に限りがあるため、2台以上のトラックで運搬する必要が出てきます。 さらに、トラックの台数が増えるだけでなく、運搬・組立・解体にかかる作業員の人数も増えてしまうので、どうしても足場代の値上がりが発生してしまうのです。
5、まとめ
足場は安全のためにも作業効率向上のためにも欠かすことができない設備です。 外壁や屋根のリフォームを検討されている方は、足場代が値上がりする前にリフォーム工事をすることをおすすめします。
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