塗装剥がれが起こるのは主に施工不良で、本来の付着強度が発揮できないことが原因です。
たとえば、以下のような施工不良が塗装の剥がれの原因になります。
1、下地処理が不十分
2、下地や塗料の組み合わせが悪い
3、希釈が不適切
4、下塗り不良
5、乾燥不足
6、塗膜の硬化不良
7、下塗りと中塗り、中塗りと上塗りの間隔があく
それぞれもう少し詳しく解説していきます。
1、下地処理が不十分
建築では「下地」という言葉がよく使われますが、ここでいう下地とは再塗装する外壁のことを指します。
しっかり下地処理できていない外壁に塗装してしまうと、塗膜剥離(とまくはくり)の原因になります。
・ケレン(旧下地をはがす)作業が不十分
・目荒らしが不十分
塗装前に古い塗料をはがしたり、こびりついた汚れやサビを除去する作業を「ケレン」といいます。
この作業が不十分だと、古い塗膜や汚れと一緒に新塗膜も剥がれてしまいます。
塗料の密着をよくするため外壁を細かくザラ着かせることを「目荒らし(目粗し)」といいます。
目荒らしが必要なケースでは、これを怠ると塗料のくっつきが悪くなります。
塗料にとって、汚れ(油分、ホコリ、水分、塩分など)も大敵です。
洗浄が不十分で汚れが残ると、下地と塗料が密着せず短期間で剥がれてきます。
2、下地や塗料の組み合わせが悪い
一般的な外壁塗装では、三度塗り(下地→下塗り→中塗り→上塗り)します。
この三度塗りでは下地と下塗り塗料、あるいは下塗り塗料と中塗り塗料・上塗り塗料の相性が重要です。
たとえばよく使われる外壁材のサイディングは弾性塗料との相性が悪いので、通常は組み合わせません。
硬化剤を混ぜるタイプの塗料では、塗料と硬化剤の組み合わせも大切です。
3、希釈が不適切
塗料の原液はドロドロの状態で、そのままでは塗れません。
これを塗りやすく薄めるのに、水やシンナーなど「希釈材(溶剤)」を足します。
塗料原液と希釈材の割合は「希釈率」とよばれ、塗料メーカーの指定があります。
その希釈率に従わないと、塗膜が剥がれる原因になります。
必要以上に希釈材を混ぜると塗りやすくなるうえ、少ない塗料でたくさんの面積を塗れます。
不真面目な業者が使う悪質なテクニックですので、ご注意ください。
4、下塗り不良
先述のとおり、一般的な塗装は「下塗り→中塗り→上塗り」と三度にわけて塗ります。
このうち中塗りと上塗りは防水や美観対策・下地の劣化対策が主な目的です。
いっぽう下塗りの役目は、中塗りや上塗りの塗料と下地を密着させることです。
ですから下塗りを省略すると、塗料が下地にくっつかず短期間で剥がれてきます。
また劣化が激しい下地は塗料をよく吸うので、たくさんの下塗り塗料が必要です。
下塗りが足りていないと、これも「剥がれ」の原因になります。
5、乾燥不良
塗料には、メーカーが指定する乾燥時間があります。
乾ききっていない塗料の上に塗料を重ねると、塗膜がうまく形成されず剥がれの原因になります。
塗装前の洗浄のあと、完全乾燥せずに下塗りを始めるのもよくありません。
塗膜の形成不良だけでなく、逃げられなくなった湿気が熱で膨張して浮きや膨れの原因になります。
6、塗膜の硬化不良
ポリウレタン樹脂塗料などの2液硬化塗料は、塗料と硬化剤を混ぜて使います。 この硬化剤を適切に扱わないと、剥がれの原因になります。 真面目な塗装業者であれば起こらないことですが、以下のことをしてしまうと硬化不良が発生します。
・硬化剤の入れ忘れ ・混合比間違い ・結露や雨でぬれる
硬化剤の入れ忘れや塗料と硬化剤の混合比間違いをしないのは大前提ですが、水にも注意が必要です。硬化剤の中には水分と反応しやすいものがあり、塗装後すぐに結露や雨で塗れると硬化不良を起こします。
7、下塗りと中塗りとの間隔があく
下塗りと中塗り、あるいは中塗りと上塗りの間隔が空きすぎると、塗膜の表面が劣化して脆弱(ぜいじゃく)な層ができてしまいます。
さらに塗膜の上に異物が付着すると、塗料の密着力も弱くなります。
前行程の塗装が乾燥しだい、次の工程の塗装はすみやかに施工するのが理想です。