1、はじめに
3月に入り富山県でも暖かい日が多くなり、冬の終わりを感じる季節になりました。 毎年悩まされる雪もひと段落した今、大切なお家の点検をしていただきたい時期です。 毎年この季節に「雪で屋根や外壁が壊れてしまったけど、火災保険を使って工事・修理できる?」というお問い合わせを多くいただきます。 あらかじめ予測できるものではなく、突然屋根が折れたり、気づけば外壁が凹んでいたりすると、どうすればよいか困りますよね。 今回は雪による屋根や外壁の被害を火災保険を使って修繕する流れをご紹介します。
2、富山県は雪害が火災保険で補償される可能性が高い
まず結論からお伝えすると、雪による屋根や外壁の被害(雪害)は火災保険を使って修繕することが可能です。ほとんどの火災保険には、雪・ひょう・台風・突風・落雷といった自然災害による被害の保証が標準でついているためです。 また、富山県は降雪量や積雪量が多い地域です。 そのため雪害による被害も出やすく、火災保険で補償される可能性が極めて高くなります。
では、具体的にどのような雪害の被害であれば火災保険で補償される可能性があるのか、主な5つの事例についてご紹介します。
① 積雪・落雪によって屋根が折れたり凹んだりしている場合
雪は私達が想像するよりもはるかに重く、屋根に耐えられる積雪量を超えると突然屋根が折れてしまうことがあります。 また、2階から1階の屋根へ落雪したときの衝撃で凹んだりつぶれたりするケースも多く、これらは火災保険が適用されます。 その他屋根に付随して雨樋が被害を受けたり、雪の重みによって雨樋がずれたりつぶれたりしているなどの被害も火災保険で補償されます。 高所の被害を確認するときには危険が伴いますので、無理に自分で行わず専門業者に調査を依頼しましょう。
② 落雪によって外壁が凹んだり割れたりしている場合
屋根からの落雪が外壁に当たり、凹んだり割れたりしてしまった場合についても火災保険の補償対象です。 外壁は気づかぬうちに破損しているケースも多く、明らかな凹みやボコボコとしたくぼみがある場合は雪害による被害の可能性があります。 また、落雪時に外壁とともに窓枠が破損するケースも多いです。 外壁や窓枠の破損は、放置しておくと漏水に繋がる場合もありますので、火災保険を使って修理・リフォーム工事をしておくと安心です。
③ 落雪によってカーポートやガレージが凹んだりつぶれたりしている場合
積雪が原因でカーポートやガレージの屋根、側面が凹んだりつぶれたりすることがありますが、これも火災保険が適用となります。 また、敷地内に物置や倉庫といった建物が設置されている場合、契約内容により「門・塀・倉庫」というプランに加入していれば、同様の被害でも火災保険の補償対象です。 合わせて、積雪の圧力でシャッターや扉が歪んで閉まらないなど、機能に障害がある被害についても火災保険の適範囲に含まれます。
④ 雨漏り・漏水している場合
一見雪害と関係なさそうな被害でも、原因をたどれば雪害が関係していることもあります。 天井からの雨漏りや壁から漏水しているなどの被害は、雪害や風害などによって屋根や外壁が破損している可能性があります。 そのような被害が見受けられる場合、自然災害によるものと認められれば火災保険が適用されるケースもあります。
⑤ 給水管や排水管が破裂・破損している場合
今年はとても多くのお家で給水管や排水管が凍結し、破損してしまう被害が発生しましたが、この場合も火災保険で補償されます。 このケースについては凍結が原因のため雪害ではありませんが、寒い冬の時期に起こりやすい被害です。
3、雪害が適用される3つの条件
上記のような被害が見受けられても、これからお伝えする条件に当てはまらなければ火災保険で補償されません。 知っておきたい主な3つの条件について解説いたします。
① 被害発生から3年以内であること
雪害を含む火災保険の申請は、法律により発生から3年が期限と定められています。 よって、被害の発生から3年以内であることがまず火災保険で補償される条件になります。 また、火災保険を使わずに過去に修理やリフォーム工事を行っている場合、たとえ施工後であっても被害の発生から3年以内であれば給付金の請求が可能です。 その場合、損害箇所がわかる施工前の写真、施工時の工事見積書や請求書などの提出が必要となります。 なお、被害の発生から3年以上経過しているものを3年以内と偽ったり、故意に壊し雪害として申告したりすることは虚偽申請にあたります。 このような行為は保険金詐欺になりますので、絶対にやめましょう。 ※ 2022年10月各保険会社の大規模な改定により、2022年10月1日以降に契約・更新した場合、保険会社によっては2年以内に復旧した場合に限り保険金を支払うとしているケースもあるようです。 詳しくはご加入の補償内容をご確認ください。
② 雪が多い地域であること
気象庁で公開されている情報などから、雪が多い地域であることが立証できれば、雪害による被害として火災保険が適用されます。 保険会社が被害状況と気象庁のデータなどをもとに判断します。
③ 積雪が原因の被害であること
上記のように雪が少ないとされる地域でも、大雪が降った場合には雪害が認められるケースもあります。 この場合についても、保険会社による被害状況と気象庁のデータなどからの判断になります。 そして最も重要なのが、屋根や外壁の損傷の原因が積雪である場合に火災保険が適用されます。 経年劣化が原因で起きた損傷の場合は、火災保険が適用されません。
4、雪害で火災保険を使うメリット
雪害として火災保険の申請ができる被害と条件がわかったところで、 「1回使ってしまったら使えないのでは?」 「保険を使うと保険料が上がるのでは?」 などと不安になりますよね。 次に火災保険を使うメリットとその理由を解説していきます。
① 何回でも使えて、保険料は上がらない
火災保険は申請回数に縛りがないため、被害にあった場合は何回でも繰り返し利用することができます。 また、火災保険は自動車保険などと異なり等級制ではないため、何回利用しても保険料は上がりません。 ただし、何点か注意点がありますので、例と合わせて詳しくご説明します。
【ケース1】今まで火災保険を利用したことがない損害箇所について申請する場合
過去に雪害により屋根が破損したため火災保険を利用し、今回は雪害によりフェンスが破損したため火災保険を利用したい場合は申請することができます。
【ケース2】過去に火災保険を使って給付金を受け取り、修繕を行った箇所が再度破損した場合
過去に雪害により屋根が破損したしたため火災保険を利用して修繕し、再度屋根が雪害により破損したため火災保険を利用したい場合も申請することができます。
【ケース3】以前火災保険を使って給付金を受け取ったものの、給付金がおりた箇所に対して工事・修理を行わなかった場合
過去に雪害により屋根が破損したため火災保険を利用したが実際は修理しなかった場合、雪害により屋根の破損状況がさらに悪化した場合は、火災保険を利用することはできません。
なお、例外として保険金の8割を1度に受け取った場合は、火災保険の契約が終了となります。 原則、火災により家が全焼したなど、家屋が全損した場合以外は8割を超えることがないので、保険金の上限を気にして申請を控える必要はありません。
② 給付金は何に使っても自由
火災保険の申請をして受け取った給付金は、必ずしも損害箇所の修繕に使わなければいけないという決まりはなく、使い道は個人の自由です。 ある程度まとまった金額が給付となるケースも多く、貯蓄にまわしたり、旅行の費用として使ったりする方もいるようです。 ただし、損害箇所を直さないことによってさらなる被害を生じさせる可能性も考えられます。 また、前述のとおり工事・修理を行わなかった場合は、その箇所について今後火災保険の申請をすることができなくなりますので、今後のためにも最低限の補修をしておくのがおすすめです。 ※2022年10月各火災保険会社の大規模な改定により、2022年10月1日以降に契約・更新した場合、保険会社によっては2年以内に復旧した場合に限り保険金を支払うとしているケースもあるようです。 詳しくはご加入の補償内容をご確認ください。
③ 修理やリフォーム工事の自己負担金額を抑えられる
破損個所の修理やリフォーム費用をしたい場合、火災保険の請求をして得た給付金を使うことですべて自費で行うよりも負担金額を抑えることができるのは大きなメリットでしょう。 なお、特に被害はないが外観をよくしたいなど、修繕目的ではないリフォーム工事の場合は火災保険は適用されません。
5、火災保険を適用されるまでの手順と知っておきたい4つのポイント
次に火災保険を適用されるまでの手順と、保険適用がされる重要なポイントをご紹介します。
【保険が適用されて保険金が支払われるまでの流れ】
屋根や外壁の損壊など被害が発生したら、まずは契約している保険会社に連絡し、申請に必要な書類や注意事項を確認しましょう。 その後は各申請書の作成をして、保険金の請求申請を行います。
申請を受けた保険会社が鑑定人をご自宅に派遣し、損害現場を調査します。 その調査結果を受けて保険会社が審査を行い、申請内容が認められれば保険金が支払われます。
【知っておきたい4つのポイント】
① 適用対象なのかどうかは鑑定人が判断する
自然災害での劣化か、もしくは経年劣化なのか、保険適用かどうかを判断するために保険会社は劣化状況を調査します。 この調査は、保険会社が任意で選んだ鑑定会社から派遣されてくる鑑定人が行います。 具体的には、この鑑定人が保険申請内容をもとに実際に現場に赴き損害状況を調査し、自然災害による劣化の有無や被害額を査定した報告書を作成し、依頼のあった保険会社に提出します。 この鑑定は、火災保険に加入している方からの保険申請がなされて初めて行われますので、申請に必要な各書類を準備することとなります。 どのような書類が必要かは、保険会社に事前に確認しておきましょう。
② 申請書は業者または自分でも作成できる
火災保険申請には、保険会社への各書類の提出が必要です。 主な書類は、保険金の請求書・事故の報告書・修理した箇所の工事見積書の3つです。 書類の作成はご自身で行うこともできます。 事故の報告書には下記内容を記述しておくとよいでしょう。 ・ 契約者の名前、保険証書番号 ・ 損害発生の日時 ・ 損害発生の状況・事故の原因 ・ 損害のあった家の住所 ・ 損害箇所を示された家の見取り図
③ 損害箇所の写真は忘れずに
事故の報告書で最も大切なポイントは、損害箇所の写真を忘れずに添付することです。 鑑定人が調査対象となる家が保険契約をしている家かどうかの判断がつきやすいですし、調査自体もスムーズに進むことが望めるからです。 個人で所有しているカメラで十分ですので、被害にあった屋根や外壁の箇所を撮影しておきましょう。 その際には家全体がわかる外観と方角別の外観も一緒に撮影し、該当箇所がわかるように印をつけて提出しましょう。
④ 添付の見積金額は「適正」に
修理見積金額はどのように算出するのでしょうか? ご自身で見積金額を算出するのは難しいでしょう。 専門家である業者に見積書に見積額の算出を依頼しましょう。 「保険金の申請のため」という目的を事前に伝えておくとスムーズに対応してくれます。
6、まとめ
火災保険といっても火災による損害だけでなく、様々な自然災害などにも保険適用が認められるということに驚かれている方もいらっしゃるかもしれません。 重要なのは、ご自身が契約されている火災保険の内容を見直し、よく理解することです。 火災保険の請求期限は被害の発生から3年ですので、申請を先延ばしにすることで給付金のもらい漏れや、さらなる被害を生じさせる可能性があります。 ぜひこの機会にご自宅の屋根や外壁を点検して、損害がある場合は早急に対処しましょう。
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