1、はじめに
近年、日本各地で起こる自然災害によって多くの方が被害を被っています。 特に大型の台風による被害は年々増えており、規模の大きい台風が毎年立て続けに発生しています。 台風で一番心配なのは、「瓦が飛んでしまう」という被害ではないでしょうか? また、飛んでしまった屋根材で人や物を傷つけてしまうことも、心配事の1つかもしれません。 今回は、台風などの強風で屋根が飛んでいってしまう状況や強風対策についてご紹介します。 また、風に強い屋根とはどういう種類なのかについても解説していきます。 台風シーズンを迎える前に、ご自宅の屋根の状況もぜひ確認しておきましょう。
2、屋根が飛んでしまう可能性があるのは風速何m?
台風の際に、ニュースなどでよく聞く情報の1つに台風の「風速」があります。 まずは、風速によって人や物にどれくらいの影響があるのかを確認していきましょう。
【瞬間風速20~30m/秒】
風の強さは「強い風」とされてます。 人が風に向かって歩けなくなり、転倒する人も出ます。 屋根瓦や屋根葺材がはがれるものもあります。
【瞬間風速30~40m/秒】
風の強さは「非常に強い風」とされています。 人は何かにつかまっていないと、立っていられません。 飛来物によって負傷する恐れがあります。 屋根瓦、屋根葦材が飛散するものもあります。 固定されていないプレハブ小屋が移動したり、転倒したりします。
【瞬間風速40m/秒~】
風の強さは「猛烈な風」とされています。 人の屋外での行動は極めて危険とされています。 固定が不十分な金属屋根の葦材がめくれたり、瞬間不足が50m/秒を超えると外装材が広範囲にわたって飛散したり、もっと風速が強くなると倒壊する家も出てきます。
気象情報で風速30m/秒以上の「非常に強い風」「猛烈な風」という情報が出たら、瓦が飛ぶ可能性があると考えてよいでしょう。 また、屋根だけでなく、大きな木の枝や近所の置き瓦の飛来も考えなければなりません。
3、強風に強い屋根材は何?
様々な種類の屋根材が使われていますが、どの屋根材が風に強いのでしょうか? 日本の木造住宅で一般的に使われている3つの屋根材のうち、どれが一番風に強いのか見ていきましょう。
① 日本瓦屋根
日本の木造住宅の屋根と言えば、日本瓦を想像する人が多いのではないでしょうか? 実際に日本家屋に用いられることが多い屋根材です。 陶器と同じ焼き物であるため、耐用年数と防水性に優れています。 よくニュースで瓦が飛んでいる映像を見る機会もあり、「日本屋瓦屋根は風に弱いのでは?」とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、日本瓦は重量があるので強風に強い屋根材です。 施工が甘かったりメンテナンスを怠っていると強風時には飛散してしまいます。 また、土の上に載せているだけの「土葺き」という工法で設置されている場合も、強風によって瓦が飛ばされてしまう可能性があります。
② スレート屋根
スレート屋根は、セメントが主原料になる屋根材です。 安価で施工できるため、多くのメーカーで採用されています。 スレート屋根は雪との相性が悪く、雪の降る地域ではあまり使われません。 コストパフォーマンスが良く日本瓦の半分以下の重さのため、建物自体の耐震バランスも保ちやすいとされています。 しかし、風にはあまり強くないためメンテナンスを怠っていたり、強風時に釘ごとめくれて飛んでいったりと注意が必要な屋根材と言えます。
③ ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、鋼板に特殊なメッキ加工を施している屋根材です。 高耐久、デザインの柔軟性、コストパフォーマンスも良いため、近年爆発的に普及してきた屋根材です。 素材はスレート屋根同様軽いため、耐震性も高いです。 また、メンテナンスが楽で、スレート屋根材とは施工方法が違うため、耐風性もある程度期待できる屋根材です。 日本瓦屋根、スレート屋根と比較すると、一番強風に強いのはガルバリウム鋼板の屋根材です。 しかし、加工が少し難しい材料のため、職人によって仕上がりの制度にバラつきが出やすいとも言われています。
4、屋根材別の強風対策
先程ご紹介した3つの屋根材は、実際強風時にはどのような対策をするとよいのでしょうか?
① 日本瓦屋根
台風の季節を迎える前に、瓦が大きくずれていないか、下から見上げて目視確認することが大切です。 築年数が古いお家や、土葺きのお家の場合は、一度専門業者に点検してもらう方がよいでしょう。 耐用年数を過ぎ、日本瓦屋根のリフォームを検討される際に、強風対策として防災瓦に変更するという方法もあります。 防災瓦は、瓦同士を噛み合わせてさらに釘で固定するので、台風などの災害に強い瓦と言えます。 瓦の風情を残したい場合にはおすすめの対策ですが、全面葺き替えとなるためコストは高くなってしまいます。ガルバリウム鋼板の屋根材に変更し、瓦屋根風の加工をするという方法もあります。
② スレート屋根
スレート屋根の場合は、定期的なメンテナンスを心がけることが一番の強風対策になります。 10年を目安に塗装を行い、20年を目安に葺き替え工事を行うとよいでしょう。
③ ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は耐久性を誇る屋根材ではありますが、メンテナンスはもちろん必要です。 耐用年数は30年と言われていますが、下地層が先に傷んでくるので、築10年をめどにメンテナンスの必要があるかどうか専門業者に点検してもらうとよいでしょう。 その際に何か異常があればしっかりと修繕し、耐風性を維持できるようにしておきましょう。
5、その他の強風対策
強風時には、屋根の他にも注意しておくべき場所や対策をしておくべき場所があります。 屋根の他のほかによくある事例は、雨樋が飛んでいくケースです。 雨樋がしっかりと固定されているかを確認し、緩みやがたつきがあれば修理しておきましょう。 また、外壁や窓ガラスも亀裂があったり、ひび割れがある場合は早目に修繕をしておきましょう。 外壁については、強い雨風で雨水が侵入する可能性があります。 窓ガラスもガラス飛散防止フィルムを貼っておくと、窓が割れた際の飛散を防ぐこともできます。 そして、意外と忘れがちなのがベランダや庭に置いてある植木鉢や荷物類です。 風の当たる面積が広いものは、風の影響を受けやすいです。 家の中に移動するなどの対策をしましょう。
6、まとめ
台風に強い屋根材や強風時の対策についてご紹介しました。 重要なのは定期的にメンテナンスを行うことです。 メンテナンスを行うことで、強風対策だけでなく雨漏りや住宅の劣化防止にもつながります。 強風による被害はご自宅の被害だけでは済まされません。 近隣への被害を防ぐためにも、しっかりと強風への対策を行いましょう。
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