1、はじめに
外壁塗装を検討されている方は「相見積もり」という言葉を聞いたことがないでしょうか? インターネットでも外壁塗装を安くする方法として、よくこの「相見積もり」が紹介されています。 「相見積もり」とは、複数の施工業者から見積もりを取り比較することを言います。 しかし「見積書を取ったはいいけど、見積書の見方がわからない」「外壁リフォームの見積書ってどんなもの?」という方も多いのではないでしょうか? 今回は外壁塗装の見積書のチェックポイント、見積書の一般的な項目と単価相場の例もご紹介します。 見積書の見方や例を確認し、大切なマイホームの外壁リフォームに安心して望めるようお役立ていただけると幸いです。
2、見積書の見方を知っておく3つのメリット
見積書の見方や例を知っておくことには、次の3つのメリットがあります。
① トラブルを回避できる
見積書の見方を知っておけば、見積書の内容からどの部分をどのように工事するのかを理解することができます。 見積書の見方を知り、見積書をしっかりチェックしておくことで「ここの塗装を頼んだはずなのに塗装されていない」「思っていた工事内容と違う」というような施工業者と依頼主の認識の違いから起こるトラブルを回避することができます。
② 適正価格で依頼できる
見積書の一般的な項目や単価目安を知っていれば、見積書をチェックした時に「必要性がよくわからない項目がある」「単価が不自然に高い」ということがあれば気づきやすくなります。 不明な項目があれば施工業者に確認したり、別の施工業者からも見積書を取るなどして、適正な価格で外壁塗装工事を行うことができます。
③ 見積書通りの工事が施工されているかどうか判断しやすくなる
見積書の内容を把握できれば、実際の工事が見積書に沿った作業内容になっているか判断しやすくなります。 工事の期間中、見積書の確認ができておらず、職人たちが何をしているのか、見積書通りの作業なのか全くわからない状況を避けることができます。
3、見積書チェックで注意すべき6つのポイント
見積書を確認する時にチェックしておきたい6つのポイントをご紹介します。
① 工期ごとに細かく分けて書かれているか
外壁塗装の見積書は「外壁塗装一式●●円」などではなく、工程ごとにかかる費用が細かく記載されているのが一般的です。 外壁塗装には「足場設置(仮設足場)」や「高圧洗浄」「下塗り」「中塗り」など様々な工程があります。 これらの工程ごとの価格が、見積書に明記されているか確認しましょう。 一部の工程を「一式●●円」とすることはありますが、外壁塗装工事の全てを「一式」でまとめるのは一般的ではありません。 見積書に工程ごとの費用が記載されていなければ、その理由を施工業者に確認してみましょう。
② 外壁・屋根は3度塗りになっているか
外壁や屋根の塗装は「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3度塗りが基本です。 3度重ね塗りすることで、初めて塗料が本来の機能を十分に発揮することができます。 このため「3度塗りを前提とした見積書かどうか」もチェックポイントの1つです。 3度塗りの外壁塗装の見積書は次のいずれかのものが多いです。
・ 「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3つの項目があり、それぞれの費用が記載されている ・ 「下塗り」と、「中塗り」「上塗り」を意味する「仕上げ塗り2回」の2つの項目があり、それぞれ費用が記載されている
「下塗り」は「下地強化剤塗布」と表記されることもあるなど、項目の書き方は施工業者によって異なるので、不明点があれば施工業者に確認してみましょう。
なお、使用する塗料によっては3度塗りではない場合もあります。 例えば透明な塗料を用いるクリアー塗装は2度塗りが一般的です。
③ 作業面積(数量)と単価が記載されているか
工程ごとに作業面積(数量)と単価が記載されているか確認しましょう。 作業面積と単価は工事費用を左右する大きな要素なので、見積書に記載しておくべきものです。 特に次の3つの工程は、作業面積と単価の記載が重要になります。
・ 下地強化剤塗布(下塗り) ・ 中塗り ・ 仕上げ塗り(上塗り)
この3つは作業面積が広く、費用への影響も大きいため、作業面積と単価を特に明白にしてほしい項目です。 なお、工程によっては作業量が少ないことや作業量を単位で表すことが難しいことから、「一式●●円」で記載されるものもあります。 作業面積と単価が明記されているか、最低限確認が必要なのが「下塗り」「中塗り」「上塗り」です。
④ 塗装する箇所が全て書かれているか
外壁や屋根、付帯部分(雨戸や雨樋、ひさしなど、住宅の外側で外壁・屋根以外の細かい部分)など塗装してほしい箇所が全て見積書に記載されているか確認しましょう。 塗装予定の箇所を書面でしっかり確認することで、塗装する部分と塗装しない部分を施工業者としっかりすり合わせ、工事で間違えがないようにすることができます。
⑤ 使用する塗料の製品名が書かれているか
外壁の塗装では、基本的に2種類の塗料を使用します。 下塗りで使用する塗料と、中塗り・上塗りで使用する塗料です。 下塗りで使用する塗料と、中塗り・上塗りで使用する塗料それぞれの製品名が見積書に記載されているかどうか確認しましょう。 塗装のクオリティーとコストは、使用する塗料で大きく変わってくるので、この点を明記してある見積書が望ましいです。
⑥ 塗料について調べてみる
見積書に記載されている塗料について、インターネットで調べてみましょう。 製品名で検索すれば、塗料メーカーのWebサイトが出てくるはずです。 メーカーの公式サイトをチェックすることで、「施工業者が話していた塗料の説明は本当か」「信頼できそうなメーカーの製品か」を確認することができます。
4、見積書の一般的な項目と価格相場
外壁塗装の見積書の一般的な項目と価格相場の他、見積書での付帯部分の記載の仕方、外壁塗装と合わせて必要になる工事をご説明します。
① 見積書の一般的な項目と単価
一般的な外壁塗装の見積書で、基本項目と相場単価は次の通りです。
【項目】 【単価相場】
仮設足場 600~1,000円/㎡
飛散防止シート 200~400円/㎡
高圧洗浄 100~300円/㎡
下地処理 作業内容による
下塗り 500~1,000/㎡
中塗り 1,500~4,500/㎡
上塗り 1,500~4,500/㎡
※ 単価相場はあくまで目安です。 ※ 上記の他に、諸経費(廃材処分費など)が数万円かかることがあります。
項目名や分け方は施工業者によって異なります。 上記の項目は、外壁塗装の工程に対応しています。
また付帯部分を見積書にどのように記載するかは、施工業者によって差が大きいです。 一般的に3つの記載方法があります。
・ 付帯部分をまとめて「一式●●円」とする書き方 ・ 付帯部分を「鉄部」や「木部」など材料で分け、それぞれ「一式●●円」とする書き方 ・ 付帯部分の面積を記載し、「面積●●㎡・単価●●円・金額●●円」とする書き方
付帯部分は平面ではなかったり、1カ所あたりの面積がとても小さかったりします。 このため、外壁のように「面積」や「㎡あたりの単価」を出すのが難しく、施工業者によって費用の出し方や見積書における記載方法が異なることが多いのです。 それぞれの住宅によって異なりますが、一般的な2階建て住宅であれば、付帯部分の塗装は総額15~20万円のことが多いでしょう。(一般的な戸建て住宅とは、延床面積が30坪前後の2階建て住宅を指します。)
5、外壁塗装工事以外に必要な工事も
ご自宅の外壁がサイディングの場合は、コーキング工事も同時に行う必要があります。 サイディングは板状の外壁用建材「サイディングボード」を張り合わせ、建材同士のつなぎ目の隙間を「コーキング」と呼ばれる充填剤で埋めています。 外壁の塗装工事が必要な時期には、コーキングも寿命を迎えていることがほとんどです。 このため、外壁塗装はつなぎ目のコーキングを新しくするコーキングの打ち替え工事も同時に行う必要があります。 一般的な一戸建て住宅のコーキング打ち替えの費用は、15~20万円のことが多いでしょう。
外壁塗装を行う際に、屋根の塗装もまとめて行うのがよいとされています。 施工業者を探す手間を1度で済ませることができ、足場代も外壁と屋根の塗装を別の時期に行うよりも節約することができます。 最近の一戸建て住宅で最も多いのがスレート屋根ですが、スレート屋根は水を吸うことがないよう表面を定期的に塗料でコーティングして防水性を高める必要があります。 1度目の外壁塗装の時期の目安が築10~15年なのと同様、スレート屋根も築10~15年で1度塗装メンテナンスを行うのが理想です。 このくらいの時期に塗装しておくとことで、スレートの状態を良好に保ちやすくなります。 なお、日本の伝統的な瓦屋根は、塗装を必要としない材質です。瓦屋根の場合は、屋根塗装は必要ありません。
6、まとめ
細かくしっかりとした見積書を用意してくれる施工業者は安心感があります。 しかし、細かい見積書を要ししてくれる施工業者が優良業者とは限りません。 見積書がどんなに良くても、施工経験が浅いければ不安な部分があるかもしれません。 逆に、見積書がやや大雑把でも経験豊富で信頼できる施工業者もいるでしょう。
施工業者の見極めは、見積書だけでなく総合的に判断することが重要です。 見積書以外の優良業者選びの基準としては、次の3つのようなものがあります。
① 施工実績が豊富か ② 身だしなみや言葉遣いがきちんとしているか ③ 保証などのアフターサービスが用意されているか
今回ご紹介した見積書のチェックポイントを参考に、ぜひ外壁塗装の見積書を改めて確認してみてください。 施工業者に出してもらった見積書に不明点があれば、ぜひ「相見積もり」をすることをおすすめします。 比較することで「この項目の単価はこれぐらい」「もう少し安く工事することもできる」など気づくことがあります。