外壁塗装の正しい工程【これで手抜きも見抜ける】

住まいのイメージチェンジを図ろうと、外壁塗装を検討している方もいるのではないでしょうか。中には、塗装業者を探している最中だという方もいるかもしれません。塗装業者を選ぶ基準は、予算・作業期間・知名度などさまざまな観点がありますが、やはり費用はなるべく抑えたいものです。

しかし、いくら費用が安くても手抜き工事をされては、後で修復が必要になり、総合的に高くつくリスクを負いかねません。とはいえ、費用が安くても優良な塗装業者もいるため、重要なのは優良な業者と手抜き業者を見極める力をつけることです。そのためには、外壁塗装に関するいくつかのポイントを押さえておく必要があります。
今回は外壁塗装の工程や工期に着目して、手抜き業者を見極めるポイントについて解説します。

外壁塗装の工程

まずは、外壁塗装の工程に関して解説します。一口に「外壁塗装」と言っても、単に壁に塗料を塗るだけではなく、素材に合った塗料を選定したり、長い間綺麗な状態を保てるよう工夫をしたりと、やることは多いです。もちろん、足場の設置など工事に付随するさまざまな作業も発生します。では、外壁塗装が始まってから完工するまで、ステップごとにチェックしていきましょう。

挨拶まわり・準備

外壁塗装を行う場合は、ご近所への挨拶まわりから始めます。工事を始めると車の出入りの増加や騒音の発生、塗料による臭いなど、近隣の住民に不便をかけてしまう可能性もあります。そのため、まずは簡単な挨拶周りから始める業者も少なくありません。お客様に挨拶まわりを任せる業者もありますが、業者の方で挨拶の品などを用意するケースもあります。とはいえ、事前の断りや近隣住民への周知徹底は依頼する人自身が行うよう心がけましょう。

実際の塗装に入る前に、工事をスムーズに進められるよう車や庭の置物などを移動させます。邪魔にならないよう、業者に頼む前にあらかじめ自分自身で片づけておくことをおすすめします。難しい場合は、勝手に移動させても問題ないことを業者に伝えて、移動を任せてしまっても良いかもしれません。

足場の設置

周囲の環境が整ったら、次は足場の設置が行われます。足場の設置は約一日で完了します。設置する足場は大きく分けて二種類あり、一つが「クサビ足場」と呼ばれるもの、もう一つが「単管ブラケット足場」と呼ばれるものです。クサビ足場は足場の幅が広く、安定感があるのが特徴です。

一方、単管ブラケット足場は幅が狭く、比較的揺れやすい足場です。足場の種類は塗装に無関係だと考える方もいるかもしれませんが、実は塗装作業の質に大きく影響します。

常に足元に注意を払う必要があるブラケット足場では塗装作業も手早く済ませがちで、両手を放しながら作業をすることはできません。対して、安定感のあるクサビ足場では、塗装作業に専念することができます。住宅周りのスペースにもよりますが、基本的にはクサビ足場の方が丁寧な作業ができると考えて良いでしょう。

洗浄

足場が組み終わると、高圧洗浄機などを使用した外壁洗浄の行程に入ります。この工程を踏むことで外壁の汚れや古くなった塗膜などを綺麗に除去し、塗料の接着をより良くできます。洗浄に使用する水は、ご自宅の蛇口から引くケースが多いです。

下地処理・養生

続いて、下処理と養生を行います。下処理とは外壁の割れや傷などの修復作業を指します。前日の洗浄で落ちきらなかった汚れは、この工程で綺麗します。金属部分を塗装する場合には、この段階で「ケレン」と呼ばれる素地調整作業を行います。

下処理を済ませた後は、窓やドアなど塗料を塗らない部分をビニールやテープで保護します。養生は塗料の付着を防ぐだけでなく、塗料を塗る部分と塗らない部分の境界線をしっかりと区切る役割もあります。

下塗り

ここまでの下準備が完了して、初めて塗装の作業に取り掛かります。しかし、この工程では完工後の最終的な色味を塗るわけではありません。希望の色を塗る前にシーラーやプライマーと言われる下塗りをします。プライマーは、この後に中塗り・上塗りをする塗料を密着させるために必要なベースとなるものです。そのため、この段階でオーダーした色と違う塗装がされていても、あまり心配しないようにしましょう。下塗りが完了したら1日かけて乾燥させます。

中塗り

下塗りの次は中塗りを行います。この工程でオーダーされた色味での塗装が始まります。上塗りだけでは紫外線や熱に長い間耐えることはできませんが、中塗りを行うことで上塗りの塗料を補強したり、仕上がりを美しくしたりすることができます。

上塗り

最後に上塗りを行います。下塗り・中塗り・上塗りと塗料を重ねることで塗膜の厚みを増し、耐久性が向上します。また、上塗りをすることで光沢も出ます。ちなみに、マットに仕上げる場合には、上塗りの工程で塗料につや消し剤を混ぜて仕上げることもあります。

片づけ・足場解体

塗装が終わると足場の撤去や片付けを行います。この段階で注意したいのは、足場を撤去する前に工事内容を目で見て確認することです。足場の撤去後でも手の届く範囲であれば、修正対応をしてもらえる可能性はありますが、高所の場合は再度足場を組み直す必要があるため困難です。出来栄えを必ずチェックするよう気をつけましょう。
足場を解体した後は、着工前に移動させたものを元の場所に戻して、周辺を掃除したら完工です。

工期は10日~2週間程度が目安

前述したとおり、外壁塗装の基本的な工程は数多くあり、どれも耐久性を確保したり、美しく仕上げたりするために必要な作業です。一般的には10日~2週間程度の期間が目安だと考えておきましょう。塗料の乾燥時間は天候や塗料の種類などによって左右されるうえ、下処理に時間を要することも少なくありません。スケジュールや進度を業者とよく確認し合いながら進めるのがベストです。

工期でわかる手抜き業者のチェックポイント

優良な業者に依頼すれば、工期が極端に短かったり長かったりすることは基本的にはありません。しかし、手抜き業者は必要な工程を飛ばして工事を進めるケースも多く、短期間で完工する可能性があります。被害に合わないためにも、工期で分かる手抜き業者の見分け方の一例をチェックしてみましょう。

洗浄しない

先ほどご説明したように、外壁の洗浄は塗料の接着を良くするために必要な工程です。外壁に付着した汚れやゴミを丁寧に除去しなければ、精度の高い塗膜を作ることはできません。故に、優良な業者は丁寧に洗浄を行います。

しかし、手抜き業者にとって外壁の洗浄は、手間のかかる作業の一つです。そのため、洗浄作業を適当に行ったり、洗浄そのものさえ行わなかったりするケースもあります。汚れた状態で塗料を塗ると耐久性が落ち、完工から数年で塗装が剥げるといったトラブルも起きやすくなるため、注意が必要です。

養生を貼らない

養生は塗料の付着を防ぐだけでなく、仕上がりを綺麗にする役割もあります。しかし、丁寧に養生すると時間がかかるうえに貼り直しによって費用がかさみます。そのため、手抜き業者は養生を雑に行う傾向にあります。また、一般的に足場にもシートで養生をしますが、手抜き業者は少しでも手間を省くためにシート養生すら行わないケースも多いです。

塗り回数が少ない

塗装の工程は、下塗り・中塗り・上塗りの3回が基本です。一般的に、中塗りと上塗りの塗料は同じで、見た目だけではどちらの工程を行っているのか分かりません。そのため、それを逆手に取って、中塗りをせずに上塗りをするケースもあるようです。

そのため、こういった行程の省略を避けるために、中塗りと上塗りを異なる色に指定することも可能です。

プロこそ全ての工程を丁寧に行う

今回は外壁塗装の行程と、手抜き業者を見抜くポイントについてご紹介しました。外壁塗装の工程は8つのステップで進みます。プロの塗装業者は費用を頂いている以上、綺麗な状態をなるべく長く保てるように、必要な工程を一つひとつ丁寧に行います。そのため、工期は10日~14日前後を要するケースも少なくありません。時間はややかかるものの、その分後悔の無い仕上がりを保つことができます。

一方で、塗装工事において手抜き業者が存在することも残念ながら確かです。手抜き業者が多くの工程を省いた結果、3~4日で完工して、数年でトラブルが生じるケースも珍しくありません。

手抜き業者を避けるためにも、見積もりの段階だけでなく、準備の段階、塗装の段階など、手順ごとに作業をチェックして、少しでも違和感を覚えたらその場で指摘するなどの対処をとりましょう。