1、はじめに
外壁の色を選ぶ時、どのようなことを基準にしたらよいでしょうか? 家全体のバランスも大切ですが、最近では風水を気にしたり、「虫がつきやすくなる色があるのでは?」と不安になったりする方も多いようです。 家を新築のように生まれ変わらせることができる外壁リフォームですが、外壁は住宅の顔なので、何色にするかでガラッとイメージが変わります。 「こんなはずじゃなかった」と後悔しないように、失敗しない色の選び方について理解していきましょう!
2、外壁リフォームの色選びでよくある失敗
外壁の色選びに失敗してしまうのには理由がありますが、まずは外壁塗装の際によくある失敗を3つご紹介します。
① イメージしていた色と違う
最も多い失敗は「色のイメージが違う」というものです。 カタログや色見本から気に入った色を選んだはずが、いざ外装塗装が完了したら思っていた色よりも濃かったり、色が違って見えるということがあります。
② 汚れが目立つ色だった
そして次に多いのが、意外に汚れが目立つ色だったという失敗です。 外壁は雨や埃にさらされているので、選ぶ色によっては汚れが目立ち、せっかくリフォームしても綺麗な状態が長持ちしないということがあります。
③ 玄関ドアや屋根の色と合わない
外壁単体で見ると綺麗な色でも、実際に施工すると玄関のドアや屋根などとの相性が良くない、という失敗です。
3、外壁の色の選び方・失敗しないためのポイント
ここからは外壁の色の選び方と、失敗を防ぐために注意すべきポイントについて解説していきます。
① 面積効果に注意
「思っていた色と違った」という失敗の大きな理由の1つが、面積効果です。 面積効果とは、色の錯覚の一種です。 通信販売で、「実際に品物が届いてみたら、商品選びの際に見た色見本と全く違っていた」という経験はないでしょうか? 全く同じ色であっても、小さな面積で見た場合と大きな面積で見た場合と、見え方が異なってきます。 これを色の面積効果と言います。 明るい色は、面積が広くなるほど明るく鮮やかに見えます。 一方暗い色は、面積が広くなるほど暗くくすんで見えるものです。 これが色の面積効果です。 外壁は面積がとても広いので、サンプルやカタログから色を選ぶ際、色の面積効果によって仕上がりのイメージが異なることを念頭に置いておくことが大切です。 すでに希望の色の外壁を実際に使っているお宅があれば、参考にしてみるのもよいでしょう。
② サッシ・ドア・屋根との相性が重要
外壁の色を決めるときは、つい外壁のことだけを考えてしまいがちですが、サッシやドア・屋根などとの相性を考えることも重要です。 特に屋根は面積が広く、外壁とともに家の印象を作ります。 デザイン・質感が、屋根と合うように外壁の色を選ぶことが肝心です。 屋根が和風なのに外壁は洋風など、屋根と外壁の雰囲気があまりにも異なるのも美しい家とは言えません。 リフォームは「直す部分」と「直さない部分」との兼ね合いも大事なポイントです。
③ 色見本やシミュレーションのようにはならない
外壁の色選びの際は、基本的にサンプルやカタログから選ぶことになりますが、見本はあくまで色見本の参考にすぎません。 実際の仕上がりは施工してみるまでわからない、ということもあります。 ソフトやツールを使って、パソコンでカラーシミュレーションをすることもありますが、そもそもパソコンの機種によって表示される色合いは違うものであり、画面の色や明るさ設定によっても見え方が全く異なるため、シミュレーションの色を鵜呑みにしてはいけません。 以下の2点を確認して、現物になるべく近いイメージを作れるとよいでしょう。
【色見本は太陽光に当てて見る】 色見本やカタログを見る際の注意点として、色は「当たる色」によって異なる見え方をすることを覚えておきましょう。 部屋の蛍光灯の下で色選びをする方も多いと思いますが、外壁は実際太陽光に照らされるものです。 そのため、色見本は外に出て太陽光に当てて見る方が、仕上がりイメージに近い色になります。
【色見本は実際に外壁に当てて見る】 外壁の仕上がりをイメージすることはとても難しいことです。 外壁が実際に使われる環境において色をチェックするとより効果的です。 家の外壁に色見本を直接当ててみて、屋根や玄関ドアとの相性を見たり、面積が広くなった場合をイメージしたりと、細かく確認しておきましょう。 晴れて日がよく当たる時の見え方と、雨や曇天の時の見え方なども合わせてチェックしておくとなおよいでしょう。
④ ツヤの加減を考慮する
外壁塗装は、ツヤの有無で印象が大きく異なります。 各塗料のツヤの有無は、メーカーが製造する時点ですでに決まっています。 工事当日に、塗装業者がツヤの有無を調整するわけではありません。 そのため、ツヤの加減も色選びの際に考えておく必要があります。 ツヤの具合は、ツヤ消し(=ツヤ無し)・三分・五分・七部のうちのいずれかです。 ツヤを確認する際はは、必ず晴れている時に明るい場所で見るようにしてください。 光が当たっていないと、ツヤの具合を正しくチェックすることができません。
⑤ 写真がある時は影の具合を参考に
もしも気になっている外壁の色で、実際に施工した建物の写真があれば、ぜひとも参考にしてみてください。 写真を見る時は、影の部分と日の当たっている部分とをそれぞれ見てみましょう。 例えば、屋根の下部分などは影になっているので、曇っている日の色の見え方の目安になります。 また、日が当たっている箇所なら晴れている日の色合いだと判断できます。 天候によって外壁の色の見え方は変わるので、写真はその比較をするためにはピッタリの材料です。 「晴れている日はきれいだけど、曇りの日は思っていた以上に暗くなってしまう色だった」という失敗も回避しやすくなります。
⑥ 軒天の色は薄めに
他の箇所の色の組み合わせにもよりますが、軒天(軒天井)には原則として外壁よりも薄い色を使いましょう。 白でもOKです。 日の光が上から当たる軒天は、影になってしまいます。 もちろん、あえて好んで軒天に黒い色を選ぶ方もいますが、他の部分よりも暗く見えてしまうことを考慮した上で、白や薄い色を塗装しておくと立体感を出すことができます。
⑦ 近隣とのバランスを考える
好みの色がある程度決まったら、お住まいの家の近くを散策してみましょう。 まずは、向こう3軒両隣や、道の向かい側3・4軒の写真を撮影し、周りの住宅の色とのバランスを考えます。周囲の環境と同調させるのか、あえて目立たせるのか、ぜひ検討してみてください。 さらに少し離れた通りから、ご自宅の屋根の色味がどのような感じか、チェックしてみましょう。 また、立地条件にも配慮する必要があります。 例えば大通りに面している家なら、汚れが目立ちにくい濃い色にするのが無難です。 緑が多い場所でしたら、グリーンと調和する色の外壁も素敵です。
4、汚れが目立ちやすい色・目立ちにくい外壁の色は?
では、雨や埃の汚れが目立ちやすい色・目立ちにくい色とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか? この機会に確認してみましょう。
① 汚れが目立ちやすい外壁の色
極端な色というのは、汚れが目立ちやすいものです。 白や黒は、一番汚れが目立ちやすいです。 手入れやメンテナンスを頻繁に行えないのであれば、避けた方がよいでしょう。
② 変色しやすい外壁の色
また、濃い原色系の色は経年劣化で色あせや変色が目立つので、実際の年数よりも古く見えてしまう場合があります。 赤や紫などといった赤系の色は、特に日焼けによって色あせが起こりやすいので注意してください。 逆に、青系の色なら変色しにくくなります。
③ 汚れが目立ちにくい外壁の色
外壁のオススメの色は、落ち着いた色や薄い色、淡い色です。 一番好まれているのは、グレーの壁です。 次いでアイボリーやクリーム色、ベージュ、薄めのブラウンも長持ちする色の代表です。 外壁の汚れの原因となるのは、カビやコケ、砂埃などのように中間色のものが多いです。 そのため、汚れとの色の差が少ない淡い色、落ち着いた色が外壁に最も向くのです。
5、外壁の色で虫よけに対策になる?
「外壁の色を変えてから、カメムシなどの虫がつきやすくなった」と感じる方もいるようです。 昆虫は、短波長の紫外線を感じ取る能力を持っており、紫外線を反射する領域の中に集まる習性があります。 そのため傾向としては、白・青・紫の外壁は他の色と比べると紫外線を反射しやすいことから、昆虫の行動に影響を与えるのかもしれません。 逆に、防虫に適した外壁の色としては、グレー・茶・赤・ピンクなどが無難とされています。 ただしご説明した通り、虫よけには紫外線対策が大切なので、外壁の色よりも光を工夫するのが効果的です。 外周りの照明に紫外線をほとんど出さない「LEDライト」を取り付けておくだけでも、害虫防止に役立つでしょう。
6、まとめ
外壁は立派な家の顔です。 面積が広いからこそ、何度もリフォームできるところではありません。 大切な色決めを失敗しないよう、じっくり時間をかけて吟味してください。