1、はじめに
雨漏りと言うと普通は雨が直接当たる屋根が原因と考えがちですが、実は外壁の問題や原因があることも多いのです。 まず前提として、雨漏りの原因を特定するのはプロでも非常に難しいです。 屋根は被害状況も明白なことが多く、雨染みの場所で雨漏り箇所を特定することができますが、外壁は窓(サッシ)や雨戸、バルコニー等とも接しています。 つまり、屋根が原因ではない場合はその原因は広範囲に渡り、更には構造内部を雨水が伝っていなければ根本の特定は難易度を増します。 今回は、屋根が原因ではない雨漏りが発生した場合にどこを確認すべきなのか、また雨漏り箇所に応じた補修方法についてご紹介します。
2、なぜ外壁からの雨漏りは気づきにくい?
屋根からの雨漏りの場合、その症状は天井に現れます。 染み込んできた雨水は途中で含水したり遮るものがない限り、下に向かって垂直方向に移動していくので、たいていの場合は天井に雨染みができることになります。 そのため、屋根での雨漏りは比較的原因が見つけられやすいのです。 それに比べて外壁からの雨漏りはなぜ気づきにくいのでしょうか? 外壁からの雨漏りも染み込んできた雨水は下に向かって垂直方向に移動します。 ここまでは屋根からの雨漏り同様ですが、含水したり遮るものがない限りは横方向には移動しません。 壁も垂直にあるためお部屋の壁に明らかな雨漏りの痕跡である雨染みができにくいのです。 外壁から侵入してきた雨水の場合、防水紙(透湿防水シート)でシャットアウトされます。 さらに雨漏りが進行し防水紙を突破したとしても断熱材があり、ここで含水されてしまいお部屋の壁に雨染みを作るまでには至らないことがほとんどです。 お部屋の壁に明らかに雨染みとわかるような跡を残すには、雨漏りが始まってからかなりの時間が経過しているか、一度に大量の雨水が侵入してきたか、どちらかのケースがほとんどなのです。
3、外壁から雨漏りする原因と補修方法
先述の通り、外壁の何が原因で雨漏りを起こしているかを確認するのは非常に難しいです。 次に外壁で雨漏りを起こす可能性の高い箇所・原因を7つ簡単にご説明します。
① サッシ
窓を取り付けてあるサッシ、その周りに充填されているシーリング材が経年劣化で傷んでいたり、サッシを固定している釘やビスなどが緩んだり変形してしまうことで雨水が侵入してきます。 この場合は、シーリング材の打ち増しまたは打ち替え、サッシの正常な位置への固定もしくは交換が必要となります。 サッシの取り付けや構造によってはシーリング材を完全に撤去し、打ち替えが困難な場合もあります。 その場合は打ち増しを推奨します。
② 窯業系サイディングの目地部分、シーリング材の劣化
窯業系サイディングの目地に充填されているシーリング材が劣化し、痩せたり、ひび割れたり、はがれたりして隙間ができてしまい、そこから雨水が侵入してくるケースがあります。 この場合は、シーリング材を撤去し、新たに充填することによって雨水が侵入してくる隙間をなくします。
③ 幕板
外壁の横方向の目地を隠してスタイリッシュに見せることが目的の場合も多い幕板。 その裏には目地があり、そのシーリング材が傷んでいることで雨漏りが起こることもあります。 この場合は窯業系サイディングのシーリング材の打ち替えと同じです。 幕板を取り外し、これまでのシーリング材を撤去し、新たに充填することによって雨水が侵入してくる隙間をなくします。 その後幕板を元通りに戻します。 幕下を外さなくても外壁と幕板の隙間をシーリング材で埋めるだけでも十分効果があるため、塗装時に合わせて補修しておくのも1つの手です。
④ 外壁の傷や変形
モルタルの外壁に発生しやすいクラック(ひび割れ)、窯業系サイディングの反りなどの変形や割れ、釘の抜けた穴など雨水が侵入しやすいことがわかりやすいケースもあります。 補修方法は外壁の劣化状況によって異なります。 劣化が軽微な場合は、ひび割れ部分にパテやシーリング材を充填します。 劣化が中程度の場合は、ひび割れ部分にパテやシーリング材でひび割れ部分を埋めた後に外壁塗装をしたり、外壁が割れてしまっている場合はその部分を張り替えます。 重度の劣化の場合は、外壁カバー工法や全面的にサイディングを張り替える必要があります。
⑤ 水切り金具
お家には取り合い(違う部材同士が接合する部分)からの雨水の侵入を防ぐため、様々な所に水切り金具が使われています。 この水切り金具によっても雨漏りは発生します。 こちらも劣化状況によって補修方法は異なります。 水切り金具の固定が不安定になっており、それが原因で雨漏りしている場合はしっかり固定し直します。 水切り金具が設置されていても、その性能が不十分ということもあります。 これまで雨漏りとは全く縁がなかった建物でも、近隣に建物が建ったり、山林などが切り開かれ風向きが変わりこれまでの水切り金具では処理できないということも出てきます。 高さが十分なものに交換したり、大きなもので水切りカバー工事を行い、水切り金具の性能を上げることで外壁からの雨漏りを防ぐことができます。 また、水切り金具などへの物理的な傷、変形や凹みによっても雨漏りは起こりやすくなります。 変形によって雨水を招き入れやすい形状になってしまう可能性もありますし、内部の固定が外れているかもしれません。 土台と外壁の境目部分の水切りなどは鉢植えなどを壁際に寄せた際にぶつけてしまうこともあるでしょう。 ベランダやバルコニーなどサッシの開口部が出入口となっている場合、サッシの下側の水切りは蹴飛ばされたり履物が当たったりして変形することがあります。 変形が激しい場合は交換した方がよいでしょう。 また、水切り金具がサビなどで腐食している場合も新しいものへと交換しましょう。 大きさが合わなかったり、間違った向きで設置されている場合も正しい部品や正しい向きで設置し直します。 本来水切り金具が設置されていなければならないのに、設置されていないことも稀にあります。
⑥ ベランダ・バルコニーの防水層の劣化
ベランダやバルコニーの防水層が劣化することで雨水が侵入し、外壁へ雨漏り被害を及ぼすこともあります。 この場合、防水が原因なのか外壁に原因があるのか特定が難しく、発見まで時間がかかることもあります。 特に注意すべき点が、掃き出し窓下の立ち上がり部分です。 劣化に気づきにくいですが、雨漏りを起こしてしまうと外壁だけでなく、室内まで被害を及ぼすリスクが高まります。 補修方法としては、防水工事を行うことで改善できます。 防水層の劣化を確認するポイントとしては、表層にひび割れが発生していないか、排水溝が詰まっていないかです。 防水表層はトップコートで保護されていますが、経年劣化でひび割れ・亀裂を起こしてしまうので、定期的な点検・防水工事を行っていく必要があります。
⑦ 笠木
ベランダやバルコニーの上部にある笠木が劣化することで、外壁内部に雨漏りを起こすこともあります。 笠木間に隙間があるなどの軽微な劣化の場合、シーリング材で隙間を埋めることで雨水の侵入を防ぎます。 笠木にサビや変形が生じている場合は交換を行います。
4、雨漏りの修理は依頼する業者選びが大切!
雨漏りが発生する仕組みはとてもシンプルで、雨水が侵入してくる隙間が必ずどこかにあるからです。 隙間がないのにお部屋に水が染み出てくるのは、上下水道管からの漏水か結露が原因です。 漏水や結露はさておき、雨漏りが発生する仕組みはとてもシンプルなのですが、その雨水の侵入箇所を特定するのは習熟した業者でないと困難な場合もあります。 場合によっては「雨漏りを繰り返しており、業者に何回も修理してもらっているのに一向に解消する気配がない」といったことも起こりえるのです。 この対応策、実はさらに厄介な状態を招くポイントです。 雨漏りが起こってしまった場合、すぐに改善したい思いから応急処置に期待を持つかと思います。 たまたま雨漏りが改善すれば良いのですが、原因がわからないまま応急処置を繰り返すことで雨水の経路が変わることもあります。 すると、雨水が侵入している根本的な原因特定はさらに難しくなり、無駄な出費で無駄な応急処置を繰り返しているだけになってしまいます。 最終的に外壁の張り替えやカバー工事を行わなければならない結果に至ってしまえば、高額な修理費が必要になります。 外壁塗装工事では適正な価格を見極めるために2~3社の相見積もりを推奨していますが、外壁からの雨漏り調査の場合も数社から相見積もりを取るのは非常に重要です。 実際に工事を依頼する際には、信頼できる業者に依頼をしましょう。
5、まとめ
雨漏りは修理せずにそのまま放置しておくと、シロアリが発生してしまう場合もあり、お家に重大なダメージを与えてしまいます。 富山県では、雪が降ると屋根や外壁から雨漏りが発生してしまうことが多いです。 冬を迎える前にご自宅の屋根や外壁に異常がないか、この機会に確認しましょう。
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