1、はじめに
一般的に使われている屋根材には様々なものがありますが、塗装できない屋根材があるのをご存じですか? 一般的に塗装できる屋根材の中でも、特定の製品は塗装できない・おすすめしないものがあります。 塗装しても強度を維持できないほど傷みやすい弱い素材のため、塗装する意味がないからです。 また、本来は塗装できた屋根でも、劣化が進行しすぎると塗装できなくなってしまいます。 今回は、塗装できない屋根材を詳しくご紹介します。 ご自宅の屋根が塗装できない屋根材だった場合の塗装以外の適切な対処方法もご紹介します。 屋根のメンテナンスはお家全体の寿命にも関わります。 屋根材に合った正しいメンテナンスができるようになりましょう。
2、塗装できない屋根材7選
住宅の屋根材の中には、実は塗装できない屋根が多く存在します。 そして、そのほとんどは2000年前後に製造されたノンアスベスト切り替え時期の製品です。 アスベスト(石綿)は強度が高い優秀な建材で、昔の屋根には一般的に使われていました。 しかし、健康への影響から規制されるようになり、2000年頃には各メーカーがノンアスベストにした製品を販売し始めます。 ところがアスベストを抜いた分強度が低くなり、切り替え当初の製品は特にそれが顕著に出てしまいました。「塗装しても強度が保てない」「塗装しても劣化してしまう」=塗装する意味がないという傷み方をします。 そのため、知識のあるリフォーム会社は、このような屋根には塗装をおすすめしないのです。 ただ、この時期のノンアスベスト屋根全てが塗装できないわけではありません。 塗装をおすすめしない代表的な屋根材を7つご紹介しますので、まずはご自宅の屋根材が該当するか確認してみましょう。
① パミール
パミールは、塗装できない屋根の代表的な存在です。 外壁材の大手メーカー・ニチハの製品で、実際に使用されている住宅数もかなり多いとされています。 ミルフィーユのように層状にパリパリと剥がれてくる(層状剥離)という症状が特徴です。 8~10年もすると、特に劣化がわかりやすくなります。 塗装しても屋根材自体が剥がれてしまうので、塗る意味が全くありません。
② レサス
レサスは、松下電工(現パナソニック)の製品です。 強度が低く、屋根点検で上をある際にも割れる危険があるほどです。 細かなひび割れや、扇型に大きく割れるような欠損が多く発生しています。
③ シルパス
シルパスも松下電工の製品で、レサスの上位商品として発売されました。 レサス同様、ひび割れや欠損が多く発生しています。 大きなスリットの入ったオシャレなデザインですが、その分一層割れやすくなっています。 通常のスレートに必要な縁切りやタスペーサーの作業でも割れが起こりやすいため、やはり塗装はおすすめしません。
④ コロニアルNEO
コロニアルNEOはクボタ(現ケイミュー)の製品で、現在最も普及している屋根材「カラーベストシリーズ」の商品です。 細かなひび割れや先端の劣化、崩れが起きやすいです。 築10年を超えると、全面的にひび割れが発生してしまいます。 ただ、コロニアルNEOは他の屋根材に比べると不具合の報告が少ないです。 まだ築年数が浅いお家など、状態によっては塗装で持たせられる可能性がありますので、点検してみて業者と相談してみましょう。
⑤ アーバニーグラッサ
アーバニーグラッサは、通称「アーバニー」と呼ばれているクボタの製品です。 うろこのように入り組んだデザインが特徴です。 その分強度も低く、細やかなひび割れや欠損が多く発生します。 部分差し替えや補修がしにくいため、塗装もおすすめしません。
⑥ ザルフグラッサ
ザルフグラッサもクボタの製品です。 コロニアルNEOと似た形状ですが、こちらの方がややスリット幅があります。 ひび割れが多く起こるほか、劣化が進むとパミールのような層状剝離も発生することがあります。
⑦ セキスイかわらU
セキスイかわらUは、大手ハウスメーカーの積水グループの住宅で長く使われていた屋根材です。 U瓦とも呼ばれています。 昔から販売されていましたが、1990年からノンアスベストに切り替わっています。 ひび割れの他に、表面塗膜の剝がれが発生するのが特徴です。
3、劣化がひどい屋根も塗装できない
先程ご紹介した屋根材以外でも、塗装できないと言われることがあります。 「塗装しても強度が保てない」ほどに屋根の経年劣化が進んでしまった場合です。 どんなに良い屋根材でも、適切な時期にメンテナンスをしなければ劣化していくからです。 具体的には、次の3つの劣化状況です。
① ひび割れ・欠損が多い
屋根全体に多数のひび割れがある状態です。 数か所程度なら補修した上から塗装してもよいのですが、見渡して一面に発生しているくらいだとかなり屋根が弱っているため塗装をおすすめしません。
② 前回の塗膜がひどくはがれている
以前の塗装の品質が悪く、全体的に膨れや剥がれが起こっています。 塗装するためには、非常に丁寧に高圧洗浄したり手作業で削り落としたりして、表面を整えなければなりません。 また、はがれた箇所からずっと水が染み込み続けていたのなら、表面を整えたところで屋根材が弱っているので結局塗装はおすすめできません。
③ 下地が傷んでいる
築20年以上メンテナンスをしていないと、表面の屋根材だけでなくその下にある下地や防水シートも弱っていきます。 すでに屋根から雨漏りしていた場合は、塗装では対処できないことがほとんどです。 また、トタンなどの薄い屋根材だと点検で上を歩くだけでフカフカした感触がして、中の木材が傷んでいるのがわかることがあります。 このような状態は、特に20年以上何もメンテナンスをしていないと起こる可能性が高いです。 もっと早くメンテナンスをやっていれば塗装で済んだのに、時期を逃したせいでできなくなってしまった…とならないように、早目に点検をしておきましょう。
4、塗装できない屋根の2つの対処法
屋根塗装ができなかった場合の対処法としては次の2つがあります。 それぞれの特徴や工事内容、費用についてご紹介しますので、ご自宅に適した方法を選びましょう。
① カバー工法
近年非常に事例が多くておすすめなのは、カバー工法(重ね葺き工法)です。 カバー工法とは、元々ある屋根のうえにまた新たな屋根材を重ねる工法です。 費用相場は、約80~150万円です。(30坪屋根面積80~100㎡とした場合) 葺き替え工事と比べ屋根材の撤去費用がないため、約20~30万円ほどが安くなります。 耐久性は使う屋根材によって多少変わりますが、20~40年ほど持つものが一般的です。 こちらは葺き替え工事と年数は変わりませんから、安く同じ年数もつのでとてもお得です。 ただし、すでに屋根の劣化が激しく屋根から雨漏りしてしまっていたり、屋根の下地まで傷んでしまっていた場合はカバーできません。 屋根に残った水分をそのまま閉じ込めてしまうことになるからです。 該当する方は、次にご紹介する葺き替え工事の項目をご覧ください。
② 葺き替え工事
屋根のはがれや割れから水が侵入して雨漏りをおこしていたり、屋根の下地で湿気を帯びて傷んでいた場合は、葺き替え工事をしましょう。 葺き替え工事とは、現在の屋根を撤去し新しい屋根に付け替える工事です。 屋根材のさらに中にある下地板も補修・交換するので、まさに屋根丸ごと取り替えです。 費用相場は100~200万円です。(30坪、屋根面積80~100㎡とした場合) 使える屋根材はカバー工法のものと変わりはありませんが、新しい素材は今の屋根より軽いことがほとんどですので、屋根全体が軽くなり耐震性が高まるというメリットがあります。
5、費用負担を抑えて屋根リフォームする3つのコツ
カバー工法や葺き替え工事は、塗装と比べるとどうしても費用がかかります。 本当なら塗装で済ませるつもりだったのに、これでは予算オーバー…とお困りの方も多いと思います。 そこで、できるだけ屋根リフォームの費用負担を減らすための3つのコツをご紹介します。 1番避けるべきなのは、「お金が貯める待とう…」と後回しにすることです。 その間にどんどん劣化が進んで、下地の劣化や雨漏りが発生してしまうと修理費用はさらに膨れ上がってしまいます。 こうなっては本当にもったいないですよね。 最小限の費用でメンテナンスをするためにも、お得に工事するコツを抑えておきましょう。
① リフォームローンを利用する
まとまったお金の工面が難しいという方は、1度リフォームローンの活用を検討してみましょう。 高額な工事費用も分割で支払うことで負担感を減らすことができます。 また、月々払いは家計のやりくりも考えやすくなります。 支払い回数についても、30回・60回・120回など選択できます。 ご家庭の状況や将来設計に合わせて回数も設定しましょう。 さらに、工事費用の一部だけをローンにすることもできます。 全額ローンにするのはちょっと不安だな…と思う方のこれなら検討しやすいですよね。 ご自身に合ったローン利用で、上手にやりくりしながら屋根の工事を行いましょう。
② 外壁塗装も一緒に行う
屋根の工事を行う時は、同時に外壁塗装など外壁のメンテナンスも行いましょう。 足場の組み立てが1回で済むからです。 屋根工事のみでも外壁塗装のみでも、足場は必須です。 足場費用は一般的な2階建てのお家で10~20万円ほどかかります。 これが2回から1回に減らせるのは、とても大きいですよね。 足場を立てるときは、一緒にできる工事はすべて行ってしまうのがベストです。 屋根工事をするときは、外壁塗装も合わせて見積もりを作ってもらいましょう。
③ 自治体の補助金を利用する
屋根工事をすることで耐震性の向上・エコ・節電など、住まいの環境を向上させることが認められた場合、自治体によっては補助金がもらえることがあります。 ご自宅に適用できる補助金制度があるかどうか、各自治体に問い合わせてみましょう。
6、まとめ
「塗装できない屋根」というのは、意外と多く存在します。 今回ご紹介した2000年前後のノンアスベスト切り替え時期の製品は特に注意しましょう。 また、他のどんな屋根材でも劣化が進みすぎると塗装できません。 メンテナンス時期を逃さないようにしましょう。 塗装できない屋根は、カバー工法か葺き替えでの対応となります。 どうしても塗装よりお金がかかってしまいますが、後回しにすると余計に費用がかかる危険があります。 お得に工事するコツを押さえて、できるだけ早くメンテナンスをしましょう。
✨✨見積もり・ご相談無料✨✨ お気軽にお問い合わせください!