雪災による被害は火災保険で補償される?適用条件などを徹底解説!

1、はじめに

富山県では今年の冬も雪が降る日々が続いています。                                  昨年は記録的な大雪に見舞われ、カーポートが壊れるなどの雪災が連日テレビなどでも報道されていました。

最近はゲリラ豪雨や大型台風など、異常気象の影響で自然災害も多くなり、住宅被害も増加しています。                              ほとんどの火災保険は火事だけでなく、風水害や雪害などの自然災害による被害に対しても補償してくれます。ただし、火災保険で屋根や外壁の修理・塗装などのリフォーム工事をするためには、損害理由が風災・雪災・雹(ひょう)災などの自然災害であると認められなくてはなりません。

今回は火災保険について、そしてどのような被害の場合に火災保険の対象となるのかをご説明します。

2、火災保険は自然災害にも適用される

大雪や豪雪、雪崩などの雪害で、自宅や家財に被害が生じた場合は、火災保険の「雪災補償」で補償されます。「風災・雪災・雹災」はセットになっていて、多くの火災保険で加入すると初めからついている補償です。

雪災とは「雪の重みや落下などによる事故または雪崩」のことをいい、融雪水の漏入や凍結、融雪洪水(雪解け水による洪水)、除雪作業による事故は適用外になります。                                         つまり、雪による被害でも雪災補償の対象外となる被害があるということです。                          例えば、融雪洪水で自宅に損害があった場合は、火災保険の「水災補償」で補償されます。                   火災保険に「水災補償」をつけている場合は補償されます。

また、火災保険では保険の対象を「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財」の3つの中から選びます。               保険の対象をどのように選択するかによって、補償される損害が異なります。 

【保険の対象を「建物のみ」とした場合】                                            建物本体だけでなく、建物がある敷地内に設置されたもので、かつ保有しているものは補償されます。                                                床暖房やトイレ、システムバス、システムキッチンなどのように、建物の中にあるものでも動かせないものは建物とみなされます。                                                  例:窓、屋根、畳上や床上、物置、カーポート        

【保険の対象を「家財のみ」とした場合】                                            建物がある敷地内に収容される家財が補償されます。                                          例:家具、家電製品、衣類、自転車  

【保険の対象を「建物と家財」とした場合】                                           建物と家財の両方が補償されます。

3、火災保険で補償される雪災とは?

雪災で想定される被害例には、どのようなものがあるのでしょうか?                         様々な事例をもとに、火災保険で補償されるかどうかを具体的に見ていきましょう。

被害例①:落雪でカーポートの天井が壊れた

落雪によるカーポートの損害は、火災保険の雪災補償の対象となります。                             ただし、保険の対象を「建物」としていて、カーポートの延床面積が66㎡未満の場合です。

被害例②:雪の重みで建物の屋根が変形した

雪災で屋根に損害があった場合は、火災保険で保険の対象を「建物」にしていて、雪災補償がついている場合は補償の対象となります。

被害例③:近くの山で起きた雪崩に巻き込まれ、建物も家財も被害に遭った

建物も家財も雪崩に巻き込まれた場合は、火災保険で「建物と家財」いずれも保険の対象としていて、雪災補償がついていると補償の対象となります。                                             仮に「建物のみ」を保険の対象としている場合は、建物の損害のみが補償対象となり、家財は対象外となります。

被害例④:雪解け水で洪水が発生し、床上浸水で家財が水浸しになった

融雪洪水によって床上浸水した場合は、火災保険に水災補償をつけていると補償の対象となります。                    補償の対象が「建物」か「家財」のどちらか一方の場合は、それぞれ該当する対象物しか補償されません。 

4、火災保険の補償が受けられないのはどんな時?

雪災による損害であっても火災保険の補償が受けられない主な例に、次のようなものがあります。

■ 自然または摩擦などで劣化した場合

建物の経年劣化や老朽化によって建物内部や家財に水濡れなどの損害が発生した場合は、補償の対象外となります。                                                                                                                      

■ 被害が起こってから保険金請求まで3年以上経った場合

保険金の請求期限は保険法で3年とされているため、被害を受けたら速やかに保険会社に連絡しましょう。                  保険会社によっては、法律とは異なる請求期限を設けていることもあるため、保険請求期限の時効についてあらかじめ確認しておくと安心です。                                                火災保険に加入していることを忘れていた、そもそも火災保険に加入していることを知らなかったなどの理由で被害の連絡が遅れてしまった場合、時効が過ぎてしまっていても請求が認められる可能性もあります。                気づいた時点で保険会社に問い合わせてみるとよいでしょう。

5、外壁・屋根工事で火災保険を利用できる?

外壁・屋根の修理、塗装工事で火災保険を適用できる場合もあります。                          過去に火災保険が適用されたと報告のある工事事例をご紹介します。

・ 積雪、落雪による雨樋の破損、曲がり                                      ・ 積雪による屋根の破損、ゆがみ                                  ・ 台風による外壁、屋根の破損                                      ・ 屋根からの落雪による器物等の破損                                     ・ 雪や台風による建物の破損  

自然災害が原因で外壁に亀裂が発生し、雨漏りしてしまったというような場合は、経年劣化によるものなのかどうかを判断しにくいこともあります。                                                    原因がはっきりわからない場合は、経験豊富な専門業者に調査を依頼して判断してもらうとよいでしょう。                                       

6、まとめ

たとえ雪が原因の災害であっても、雪解けで発生する洪水は「雪災」ではなく「水災」で補償されます。               雪による被害を広く補償したい場合は、水災補償をつけておくことを検討してみましょう。                     また、保険の種類や保険会社によって補償内容も様々なものがあります。                                     加入されている火災保険の内容を改めて確認してみましょう。 

今年も大雪となる可能性があります。                                   事前にご自宅の外壁や屋根の状況を確認しておきましょう。