1、はじめに
窓回りや天井が湿っていたり水滴が付いていたりすると、「結露と雨漏りどっち?」と心配になる方もいらっしゃるはずです。 結露も雨漏りもぱっと見た症状はよく似ています。 しかし、中身は全く別の物です。 結露とは、空気中の水分が冷やされることによって起こる現象です。 例えば、冷たい水を注いだグラスの外側が濡れてしまうのは身近な結露です。 お家の場合は、主に家の中と外の温度差によって発生します。 一方雨漏りは、屋根や外壁の隙間から雨水が入り込んで起こるものです。 家のどこかに不具合が発生しているという状態です。 結露は家の中の空気から出てくる水、雨漏りは家の外から入ってくる水なので、対処方法や直し方も変わってきます。 今回は、結露と雨漏りの見分け方をわかりやすくご説明します。 原因が判別できた後の対処法や修理費用の相場などもご紹介します。 冬に起こりやすい結露や雨漏りを正しく対処して、快適に安心して過ごせるようにしましょう。
2、結露と雨漏りの見分け方の2つのポイント
結露と雨漏りを見分けるポイントは、「時期(いつ発生するか)」と「場所・範囲(どこで発生するか)」です。 ご自宅の気になっている湿り気、水濡れ状況はどのようになっているか確認してみましょう。
① 時期での判別
結露と雨漏りは、気になっている水濡れがどのタイミングで発生するのかでおよそ判別できます。 秋から冬にかけての寒い時期のみ水滴などが発生する場合は、結露の可能性が高いです。 特に暖房をよく使うお部屋、換気が十分でなくて湿気が溜まりやすいお部屋は結露が起こりやすいです。 逆に、季節に関係なく雨の日・台風の時などに濡れる場合は、雨漏りの可能性が高いです。 雨漏りは外からの水がなければ起こりません。 どうしても雨漏りかどうか判断ができなくて不安だという場合は、専門業者に散水試験を依頼してみましょう。
② 場所・範囲での判別
どこでどのくらい水濡れが発生するかも、原因特定の目安になります。 壁一面や窓ガラス表面、サッシ全体などが広く濡れる場合は、結露の可能性が高いです。 天井が濡れる場合は、天井裏のスペースに湿気が溜まっているのが原因かもしれませんので、天井裏の換気をして変わるかどうか見てみるとよいでしょう。 壁の一部分や窓ガラス表面ではなく、サッシの端など限定された範囲のみに水滴などが出るという場合は、雨漏りの可能性が高いです。 壁や窓は結露していないのに天井だけが水に濡れたり、換気をしても乾かないという場合も雨漏りが考えられます。 また、雨漏りの場合は、部屋の壁などに滲んでくるまでに家の内側を水が伝ってきています。 壁の内側や壁紙を湿らせていることがあるため、「部屋がカビ臭い」「壁紙が黒ずんでいる」ということがあれば雨漏りの可能性が高いです。 どこで発生しているか、気になる箇所の付近をぐるっと見回して確認してみましょう。
3、結露の対処法と修理費用
結露に対する対処法は、主に2つあります。
① 換気・除湿で湿気を減らす
簡単にできるのは、換気や除湿によって家の中の湿気を減らす方法です。
・ こまめな換気 ・ 除湿器、除湿剤を設置 ・ 植物や花瓶を置かない ・ 換気口の新設 ・ 石油やガスを燃やす暖房器具(石油ストーブやガスファンヒーター)を使わず、オイルヒーターやエアコンなどの電気式の暖房を利用する。
湿気は普段の生活で工夫できるところもあり、特別な工事というような費用を出さずに済むことが多いです。
② 断熱して冷たい空気を家に入れない
結露は家の中と外の気温差によって起こるので、それを緩和するために断熱する方法もあります。 こちらは便利グッズでできる簡易的なものから、大掛かりなリフォーム工事が必要なものまで様々です。
・ 断熱シート(結露防止シート)
断熱効果のあるシートです。 窓だけでなく、ドア用のものなどもあり、ご自身で手軽に貼ることができます。 透明なものから、目隠しにできる半透明なもの、おしゃれな柄付きのものなどデザインも豊富です。 窓やサッシから伝わる冷気を軽減してくれるので、防寒対策にもなります。
・ マルチヒーター
窓の下に置いて空気を温め、窓ガラスに結露が出るのを抑制してくれます。 家電量販店やネットで購入することができます。 こちらも防寒対策になりますし、結露が落ち着く時期にはトイレや机の下など狭いスペースの足元用ヒーターとして使うこともできます。
・ 二重窓(内窓)
通常の窓の内側にもう1枚窓を設置して、二重構造にするリフォームです。 専門業者に依頼して行います。 2枚の窓の間に空気層ができるため、冷気の侵入を防いで結露防止になります。 防犯や防音の効果も期待できます。 窓のサイズや使うガラスの種類によって費用が変わってきます。
・ 屋根裏断熱工事
屋根裏(小屋根)に入ってグラスウールなどの断熱材を敷いたり吹き付ける工事があります。 実は、屋根裏は屋根から伝わってきた熱や冷気に影響されて急激な温度変化が起こり、結露を起こし、天井の水染みの原因になったりします。 そのため、屋根の断熱をすることが結露対策になります。
4、雨漏りの対処法と修理費用
雨漏りが発生している場合は、原因を調査が必要になります。 修理費用も原因や規模によって変わってきますので、まずは専門業者に点検してもらい、そこから水が侵入しないような修理工事をしてもらいましょう。
① 原因調査
雨漏りはプロでも原因を特定するのが難しいため、目視だけでなく専門の検査が必要になる場合があります。 検査するだけでも費用がかかる場合があります。 調査方法は、雨漏りの状況や場所によって使い分けたり、初めの調査でわからなければ別のものを試す場合もあります。
【目視調査】 無料~3万円
目で見て状況を確認する方法です。 ひび割れ、屋根のズレ、外壁の浮きなど、目で見える範囲で行います。 業者によっては、交通費や人件費がかかる場合があります。
【散水調査】 3~20万円
原因となりそうな部分にホースで水を流し、実際に雨漏りが発生するか再現してみる調査です。 規模によっては、足場を立てる必要があります。 水道はお客様のお家からお借りすることがほとんどです。
【発光液調査】 5~25万円
紫外線を当てると光る塗料を水に混ぜ、原因となりそうな部分に流す調査です。 屋根裏などから紫外線を当てて光っているところを探し、原因場所を特定します。
【赤外線サーモグラフィー調査】 5~30万円
物体の温度が見た目でわかる機械・サーモグラフィーを使った調査です。 水が通っていることろは温度が低くなるため、そこを探してたどっていき原因を特定します。 散水調査を合わせて行う場合もあります。
② 原因箇所の修理
雨漏りの修理費用は、修理箇所や程度によって変わってきます。 小さな隙間を1つ塞げばよいものから、すでに水があちこち回っていて大規模な工事になるものまで様々だからです。 ここでは、原因としてよくある屋根と外壁からの雨漏りの修理費用をまとめました。 目安としてご覧ください。(30坪2階建て、屋根面積80㎡程度の概算)
◆ 屋根の雨漏り修理費用
【スレート屋根の場合】 スレートの差し替え 5,000~2万円/箇所 棟板金の交換 10~30万円 屋根カバー工事 40~100万円 スレートの葺き替え 60~120万円
【瓦屋根の場合】 瓦の交換 5,000~2万円/箇所 棟瓦の漆喰補修 15~30万円 瓦の葺き替え 80~130万円
【その他】 足場仮設 5~20万円 下地板の交換 10~30万円 破風板、軒天などの木部の交換 15~30万円 天井の張り替え 5~15万円
◆ 外壁の雨漏り修理費用
コーティング補修 700~1,000円/m ひび割れ補修 1,000~2,000円/m 外壁の部分張り替え・修繕 5,000~8,000円/㎡ 外壁カバー工事 120~220万円 内部木材の交換、補強 10~50万円
5、まとめ
結露は日々の生活や外の環境に左右されることが多いですが、雨漏りは屋根や外壁の経年劣化が原因で起こることが多くあります。 そのため、定期的な点検やメンテナンスをしてお家を健康な状態で保つことが、雨漏り予防につながります。 お家の屋根・外壁のメンテンアスはとても重要です。 そして、結露も雨漏りも正しい対処と予防が大切です。 これからも長く快適に住み続けるためにも、ぜひお役立て下さい。
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