1、はじめに
外壁の塗装工事を検討されていて、リフォーム業者に見積書を依頼された方は見積書に記載されている 見慣れない「下塗り」という項目を見て、「お願いした塗料と違う名前が入っているけど大丈夫?」などと疑問に思う方も多いと思います。 塗り作業の工程は通常、下塗り・中塗り・上塗りと3回あり、下塗りは塗装工事の塗り作業で最初にやる工程です。 下塗り作業は塗装工事で必須で、しかもとても重要な役割を持っています。 今回は下塗りがなぜ必要で、なぜ重要なのかを説明していきます。
2、下塗りの重要な4つの役割
下塗りには重要な役割が4つあります。 どれも塗装工事を成功させる上で大切な役割ですので、しっかりと理解しましょう。
① 上塗りを密着させる
1つ目の役割は「上塗りを密着させる効果がある」ことです。 塗装する屋根や外壁はひび割れや凹凸の経年劣化がありますが、下塗りをすることで平滑化でき塗料も密着しやすくなるからです。 下塗りを入れないと、塗装してもはがれやすくなってしまいます。 そのため、上塗りを密着させる下塗りは重要な役割なのです。
② 上塗りの吸い込みすぎを止める
2つ目の役割は「上塗りの吸い込みすぎを止める」効果があることです。 経年劣化した屋根や外壁にそのまま上塗りをすると、建材が塗料をスポンジのように吸い込んでしまいます。 吸い込みが止まらないと見た目が悪くなったり、吸い込んでしまった分塗料を多く使わないといけないので、余計費用がかかってしまったりします。 そのため、下塗りで塗料を吸い込みすぎないように止めておくことは重要な役割なのです。
③ 発色がよくなる
3つ目の役割は「発色がきれいになる」効果があることです。 下塗りは通常白色であることが多く、最後の上塗りの発色をよくするのに役立ちます。 逆に下塗りをしないで上塗りをした場合、元の外壁の色が透けてムラになって見えてしまうことがあります。 ご希望の色できれいに発色させるのも、下塗りの重要な役割です。
④ 小さなひび割れを補修する
4つ目の役割は「小さなひび割れを補修する」効果があることです。 これはヘアクラックと言われるような細いひびの劣化なら、下塗りで十分埋めることができるからです。 その分補修費用もかからずに済みますし、見た目も補修材が目立つ心配がないため、小さなひび割れを補修してくれる機能も下塗りの重要な役割です。
3、下塗りの種類は3種類
下塗りの種類は大きく分けて3種類です。 いずれも下塗りの役割である「上塗りを密着させる」「上塗りの吸い込みすぎを止める」「発色がきれいになる」「小さなひび割れを補修する」を備えたもので、ここではそれぞれの特徴を紹介します。
① シーラー
シーラーは上塗りと強く密着させることや、上塗り塗料のムラを防ぐ効果があるので、しっかりと均一な塗装ができよく使われる下塗り材です。 使用する建材の状態によって、油性か水性を使い分けるのが特徴です。
◆ 水性・油性の特徴
【種類】 水性シーラー 油性シーラー(浸透性シーラー)
【特徴】 ・劣化が少ない時に使う ・劣化が多い時に使う
・乾燥時間が長め(3~4時間) ・浸透性が高く、吸い込んだ分強度も増す
・臭いが少ない ・乾燥時間が短い(30~60分)
・臭いが強い
【使える建材】 モルタル、コンクリート、石膏ボード等 窯業系サイディング、ALC板、PC板等
② プライマー
プライマーも密着性を高めるのに優れており、様々な素材に使われます。 プライマーにも油性と水性があります。 さらに浸透性やサビ止めなどの効果を持つものがあり、シーラーよりも機能に応じた種類・用途に優れていると言えます。
◆それぞれの特徴
【種類】 水性プライマー 油性(浸透性プライマー)
【特徴】 ・劣化が少ない時に使う ・劣化が多い時に使う
・乾燥時間が長め(3~4時間) ・浸透性が高く、補強効果が期待できる
・臭いが少ない ・乾燥時間が短い(30~60分)
・臭いが強い
【種類】 防サビプライマー
【特徴】 ・鉄や金属部分のサビ止め効果がある
・金属部分への密着性が高い
・鉄部、鋼板などの金属部分
③ フィラー
フィラーは主にモルタルの外壁に使用します。 下地に凹凸が多い、またはヘアクラックがある場合にはフィラーを使います。 シーラーやプライマーと比べてとろみがあり厚塗りが可能ですが、フィラーは水性タイプしかありません。 また、シーラーとフィラーの機能を合わせた「微弾性フィラー」というものもあり、これはクラックを埋める機能が優れていますが、単価が少し上がる場合があります(900~1,200円/㎡)。
このように種類が複数あるため、建材や状態によって選ぶ下塗り材は異なってきます。 ご自宅のお家の状態と照らし合わせて、適切なものかどうか確認しましょう。
4、最適な下塗りをする業者の5つのポイント
下塗りの重要性や種類を理解したら、次にご自宅に適切な下塗りをしてくれる業者選びをしましょう。 作業中にずっと見張っているわけにもいきませんから、上塗りで塗りつぶされると見えなくなってしまう下塗りも、しっかりと施工してくれる信頼できる業者選びのポイントを見ていきましょう。
① 事前に現調査をしてくれる
見積提示前に、事前に現場調査をしてくれる業者を選びましょう。 図面だけではどんな外壁材の状態で、どの下塗り材が最適かの判断ができないからです。 特に今のお家の状態に合った下塗り材を選ばなければいけないので、図面だけで見積もりを提示された場合は実際に工事が開始された際に「やはり違う下塗りの方がよいですね」と話が変わることも考えられます。 事前に現場調査をして、適切な下塗り材を判断してくれる業者が安心です。
② 見積書の表記がわかりやすく明確
見積書の表記がわかりやすく明確な業者は安心できます。 明確な表記がないと、どんな素材をどのように使われたのか判断できなくなるためです。 特に下塗りについては、下塗り材が何を使用して、中塗り・上塗りはどの塗料を使うのかが明確に表記されていると丁寧でよい業者と言えます。
③ 施工中の写真を撮って報告してくれる
施工中の写真を撮って報告してくれる業者を選びましょう。 下塗りは最後は上塗りできれいに塗りつぶされてしまうので、しっかり塗られたのかの判断がしにくいためです。 特に全体や窓枠まできちんと塗られているかは後から判断できないので、写真でしっかり報告してくれるか業者に事前に確認しておきましょう。
④ メーカーからの保証が出る
塗料メーカーからの保証が出るのは安心ポイントです。 施工会社がしっかりと正しい施工をしないと、メーカー保証を出せないからです。 適切な塗布量や乾燥時間を守らないとメーカー保証は出ませんし、逆に言えば知識が豊富な業者なら正しい相性の下塗り材を使用して正しい施工をしてくれるので、メーカーからも保証が出るのです。 メーカーが保証を出してくれるところは施工も安心して任せられます。
⑤ 施工実績が多い
施工実績が多い業者は安心できます。 実績が少ない会社は経験や知識が少なく、失敗する可能性があるためです。 実績が多いとそれだけ多くの建材を見てきて施工までしているので、あなたのお家に最適な下塗りもきちんと判断してもらえます。
5、まとめ
下塗りの工程は、塗装工事の中でも重要な役割を持っています。 下塗りをしっかりやることで塗装の仕上がりが向上するので、必ず実施してもらいましょう。 また、下塗りは最後は上塗りできれいに塗りつぶされてしまい、しっかり塗られたかの判断がしにくいため悪徳業者は下塗りをせずに手抜き工事を行う可能性もあります。 信頼できる業者を見つけることも大切なポイントです。
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