外壁のメンテナンスを怠るとどうなる?

1、はじめに

普段から気にかけていないと、見過ごしてしまいがちな外壁トラブル。                      ひび割れ、カビの発生、塗料の劣化は、住宅本体にどのような影響を及ぼすのでしょうか?                      外壁トラブルについて、防止策も含めご紹介します。

2、外壁に外付けするサイディングと直接塗るモルタルの違い

住宅街を見回すと、様々なデザインの外壁がありますが、外壁は大きく分けて2種類あります。             コーティングした板状の外壁材をパネルのようにはめて、釘などで下地に固定するサイディング系と、砂と水、セメントを混ぜて練り上げたものを左官コテで下地に塗るモルタル系です。                      家の構造は間柱から順に、下地板と透湿防水シートが張られ、以降は種類によって異なります。                サイディング系は、ボードを固定する通気胴縁、そして外縁に装飾が施されたサイディングが組まれる4層構造、モルタル系は、ラス網、モルタル、装飾部分に当たる塗装の5層構造です。                     一番外側の層が劣化すると、雨水が建物の内側に入り、腐朽などの原因になるので定期的なメンテナンスが必要です。

3、主流のサイディングはシーリング部分の定期確認を

それぞれの外壁材によって、どのような劣化が起こるのでしょうか?                              まずは、サイディング系の外壁の特徴と起こりうる症状について解説します。

近年主流のサイディングの素材も様々なものがあります。                                  窯業系、金属系、木質系、樹脂系とありますが、主流の窯業系の耐用年数は15~20年とされています。                    セメントと繊維質や無機質を混ぜた窯業系サイディング材で多い劣化は、シーリングのひび割れ、藻やカビの発生、色あせ、反りやチョーキングといったものがあります。                                         反りはボードのコーティングが剥がれて水分が浸み込み、乾いた時にボードの表面が収縮して外側に反り返る現象です。                                                         チョーキングは紫外線の影響で、表面の塗料がチョークのようにほころびることを言います。                       いずれも定期的な塗り直しが劣化防止につながります。

また窯業系以外のサイディングの特徴と起こる劣化は以下の通りです。                       【金属系】                                                         〈特徴〉ガルバニウム、アルミニウム、ステンレスの銅板を使用                         〈劣化〉チョーキング、サビ、浮き、剥がれ                                  【木質系】                                                      〈特徴〉天然の木に塗装                                             〈劣化〉チョーキング、色あせ、藻やカビの発生、腐朽                             【樹脂系】                                                   〈特徴〉塩化ビニル樹脂など                                           〈劣化〉紫外線による脆弱化                                            

サイディングのメンテナンスのポイントは、ボードの継ぎ目を埋め込むシーリング部分の確認です。              シーリングが痩せたり欠けたりすると、そこから建物に雨水が侵入するとボードの反りが出てくるため、注意が必要です。

4、モルタルのひび割れは塗装で防ぐ

一方、モルタルは塗り壁のため、サイディングのように継ぎ目から雨水が侵入することはありません。               しかし、ひび割れや塗装剥がれが起こり、その部分から雨水が入ると下地が腐朽し劣化します。              また、直射日光が当たる住宅の南側はチョーキングが出やすく、日陰となる北側では藻やカビが発生することがあります。                                                   装飾が施されているサイディングと異なり、モルタルは吹き付け式の仕上げやタイル、レンガを張り詰めるなど化粧を施すケースも多くあります。                                          一番外側の層にあたるため、美観のためにはもちろん、劣化を防ぐ意味でも細かくメンテナンスをした方がよいでしょう。                                                        レンガやタイルは素材自体の耐久性は高いですが、壁面との間の接着剤が劣化することによる剥離に注意してください。

5、素地を生かすコンクリート系はシーリングと塗装がカギ

建物の構造枠と外壁がほぼ一体化しているRC(鉄筋コンクリート)やALC(軽量気泡コンクリート)についても解説していきます。                                                               RCは気密性が高く、元々の意匠を生かす傾向にあるため、シーラーなど水の侵入を防ぐための塗装のみを行うのが主流です。                                                                                                                                                                            ALCはコンクリートより軽く、断熱性に優れていますが、反面水を吸収しやすいのが特徴です。              水の侵入を防ぐために、ALCの継ぎ目にしっかりとシーリング材を施し、表面は塗装で膜を張ります。

6、外壁の劣化を放置すると・・・

ひび割れや剥がれなどの外壁の劣化が進むと、住宅本体にはどのような影響を及ぼすのでしょうか?           外壁の劣化を放置しておくと、建物内部にも被害が出てきます。                         構造にまで雨水が侵入し、やがて柱や土台までも腐食されてしまいます。                       建物内部に湿気が溜まると、シロアリ被害などにも遭いやすくなるのです。                       ここまでくると外壁の張り替えだけではなく、下地や柱なども直さなくてはいけません。               外壁補修の比ではないほどの費用がかかるので、注意してください。

7、まとめ

そもそもメンテナンスと補修を混同する方が多いのですが、意味合いは異なります。                 メンテナンスは劣化する前に外壁を維持・管理するためのものであり、劣化したものを直すのが補修です。  外壁装飾のバリエーションは豊富で、今後も増えていくことが予想されるため、耐用年数がどのくらいかはケース・バイ・ケースであるのが正直なところです。                                     毎日外壁をチェックするのは大変ですが、何年かに1回は外壁の状態を専門業者に点検してもらい、定期的にメンテナンスをした方がよいでしょう。                                           外観に症状が見られないと「まだ大丈夫」と放置してしまいがちですが、大切なのは劣化を未然に防ぐためのメンテナンスです。                                                    腐朽の原因となる雨水から家を守るためにも、5~10年の間に定期的に点検するよう心がけたいものです。