1、はじめに
「なぜ外壁塗装が必要なのかわからない」 「よく塗装は10年ごとと言われるけど、本当なの?」 「雨漏りとかしていなければ、少しくらい放置しても問題ないのでは?」 と考える人もいるでしょう。 外壁塗装は面倒な上、30坪の家でも約60~100万円ほどかかります。 できることならやりたくないというのが本音なのかもしれません。 しかし、ほとんどの住宅は外壁塗装が必要になってくると考えておいた方がよいでしょう。 放置したままだと外壁の劣化が進んでいき、本来は不要だったはずの余計な費用がかかってしまうこともあるのです。 今回は外壁塗装が必要な理由や、放置することで起こる被害を年数ごとに解説します。 緊急度別に「こういう家は塗装しなくてもよい」「こんな症状が出ていたら今すぐ塗装しないと危険!」という判断基準もご紹介します。 たとえ10年経っていても、外壁の種類や状態によっては塗装が必要ない場合もあるので、ぜひ参考にしてください。
2、外壁塗装が必要ないのはレンガ・タイル外壁のみ
外壁がレンガやタイルの住宅は塗装の必要がありません。 逆に言えばこれら以外の外壁は塗装が必要になってくるというわけです。 レンガとタイルはそれぞれ成分の違いがあるものの、どちらも紫外線や雨水への耐性が強くできています。 石やガラスがほとんど劣化しないのと同じ理由です。 塗装がなくても30年以上は持つ素材ですし、塗装をしても性能はあまり変わりません。 コケなどの汚れは付くものの、高圧洗浄などでメンテナンスをすれば問題ないでしょう。 他にもメンテナンスは必要になってきますが、塗装する必要はありません。 ひび割れや剥がれが起きた場合にセメントやシーリングなどで補修するのが一般的です。
3、塗り替えがもたらす効果とは?
外壁塗装をする1番の目的は、美観ではなく外壁の保護です。 ほとんどの外壁は塗装で守られているため、定期的に塗装しないと外壁材そのものが劣化してしまいます。 塗装の効果がなくなった外壁は、雨水や紫外線の影響をまともに受けてしまいます。 そのまま放置しておくと、以下のような問題が発生してしまいます。
・ 外壁にひびが入る ・ 雨が入って内部が腐り、シロアリ被害に遭いやすくなる ・ 劣化や雨漏りによって建物の耐久性が低下し、地震などで倒壊する危険性がある
これらのようなことを防ぐために、外壁塗装は必要なものです。 外壁を塗り替えることで、塗装の性能を再び取り戻すことができるというわけです。
4、年数ごとの劣化状況
外壁塗装をせずに放置しておくと生じてくる劣化状況を年数ごとにご紹介します。 劣化が起きてくる年数は、外壁や塗装の種類によって変わるため、実際に外壁をチェックして参考にしてみてください。
劣化症状①:色あせ・ツヤ引けが起きてくる(約5年~)
まず外壁の色が薄くなったり、ツヤが引いたりしてきます。 もとの色味と変わってきたと感じたら、劣化が進んでいると考えてください。 ただ、もともとツヤのない外壁の場合は、ツヤの劣化がわかりにくいです。
劣化症状②:汚れやコケがつきやすくなる(約7年~)
塗装の効果が弱くなってくると、外壁に汚れやコケがつきやすくなってきます。 塗装の撥水性が弱っているため、湿気が溜まりやすく汚れへの抵抗力も低くなってきます。
劣化症状③:チョーキング現象が起きる(約10年~)
チョーキング現象とは、外壁を触ると手に白い粉が付く現象のことです。 チョーキングが起きていると、塗装の効果が切れている証拠です。 塗装の効果がほとんどないので、外壁の劣化がどんどん進んでしまう状態と言えるでしょう。
劣化症状④:クラック(ひび割れ)が起きてくる(約10年~)
チョーキングが起きたまま放置していると、次は外壁に小さなクラック(ひび割れ)が見られるようになります。 雨水が入るほどの大きなクラックがない限りは特に問題ありませんが、外壁の劣化が始まっている可能性が高いです。 特にひびが0.3mm以上になるようなら、できるだけ早く補修工事をすることをおすすめします。
劣化症状⑤:剥がれが起きやすくなる(約15年~)
外壁に目立つようなクラックが見られる場合は、部分的に剥がれが起きる可能性が高くなります。 クラックから外壁の内部に雨水が侵入し、外壁の表面がボロボロと剥がれる状態です。 すでに外壁の防水性が失われている状態なので、放置するのは危険です。
劣化症状⑥:建物内部に水が入り腐食していく(約15年~)
最終的には外壁だけではなく、建物内部にも被害が出てきます。 構造にまで雨水が浸水し、やがて柱や土台までも腐食されてしまいます。 建物内部に湿気が溜まると、シロアリ被害などにも遭いやすくなるのです。 この状態までくると外壁の張り替えだけではなく、下地や柱なども直さなくてはいけません。 外壁塗装の比ではない費用がかかってしまいます。
5、【緊急度別】外壁塗装をすべきかどうかの判断基準・劣化症状
ここからは外壁の症状別に対処法を解説していきます。 緊急度を5段階で記載していますので、参考にしてください。
緊急度1:色あせ
外壁の色あせは気にしなくても大丈夫です。 見た目が気になる方もいるかもしれませんが、チョーキングが起きていないのであれば問題ありません。 このまま様子を見ておきましょう。
緊急度1:カビ・汚れ
汚れがつきやすい状態は塗装が弱っているものの、特に危険性はありません。 もし汚れが気になるなら、水洗いや洗剤を使って洗うとよいでしょう。 柔らかいスポンジを使い、外壁が傷つかないように注意してください。
緊急度2:チョーキング
チョーキングが起きていたら塗装のタイミングとしては最もベストだと言えるでしょう。 この状態で塗装しておけば、劣化がひどくなることはありません。 慌てて塗装する必要はありませんが、このまま劣化が進むと家の耐久性が落ちてきます。 補修費用が余計にかかってしまうこともあります。
緊急度3:クラック
クラックが発生した場合は、なるべく早く塗装した方がよいでしょう。 小さなクラックがあれば塗装で埋めることができます。 ただ、1mm以上のクラックの場合は補修工事が必要になってきます。
緊急度4:剥がれ
このまま塗装をしても危険な状態と言えるでしょう。 剥がれが起きている部分を補修、もしくは張り替えをした後に塗装しなければいけません。 これ以上放置しておくと、外壁の劣化がさらにひどくなっていくでしょう。 外壁全体が弱っている可能性もあるため、部分的な補修をするだけでは不十分です。
緊急度5:雨漏り・下地の腐食
外壁に雨漏りが起きている場合は、塗装しても意味がありません。 早急に下地や構造を修復し、塗装や張り替えをしましょう。 塗装をしてもまた別の場所が傷んでくる可能性があります。 下地や構造の修復には数万円はかかり、さらに外壁の張り替え工事となると30坪の住宅でも約120万円以上はかかるでしょう。 外壁塗装であれば30坪でも約60万円~選ぶことができます。 費用を抑えたいのであれば、放置せずに早めに対処した方がよいでしょう。
6、外壁や塗料の種類によって塗装の重要性や塗り替え時期が変わる
一般住宅で使われている外壁材は、レンガとタイルを除けば次の5つです。 それぞれ塗り替え時期が異なるため、あなたの家の外壁がどの種類かを確認しておく必要があります。
【外壁の種類】 【塗り替え時期の目安】 窯業系サイディング 約7~10年 金属系サイディング 約15~20年 木質系サイディング 約5~8年 樹脂系サイディング 約15~25年 モルタル・コンクリート壁 塗装の場合約10年、タイルの場合は塗装不要
また、外壁によって使われている塗装が違うので耐用年数も変わります。 同じ時期に建てた住宅でも、適した塗り替え時期が異なるのはこのためです。
【塗料の種類】 【耐用年数】 ウレタン塗料 約6~10年 シリコン塗料 約8~13年 フッ素塗料 約13~20年 無機系塗料 約15~25年
新築の場合は外壁や塗料の種類を把握しやすいですが、そうでない場合は外壁のカタログ等で耐用年数を確認するしかありません。 ちなみに一般的によく使われているサイディングは窯業系サイディング(耐用年数約7~10年)、塗料はシリコン塗料(耐用年数約8~13年)と言われています。 そのため外壁の塗り替えの目安が10年になると言われています。
もし10年経っても外壁に劣化が見られないのであれば、それは塗装が外壁を守ってくれている証拠です。 考えられる理由は、「塗装の効果が切れても問題ない外壁材を使っている」「性能の高い塗装が施されている外壁材を選んだ」ことです。 つまり、家を建てる時に選んだ外壁材の性能に左右されるということです。
もし塗装が必要かわからない場合は、塗装業者に「10年近く経っているけど、劣化が見られない。塗装は必要ですか?」と相談してみてください。 場合によっては無料で点検してもらえるケースもあります。
7、外壁塗装をなるべくしたくない!長持ちさせるためには?
なるべく外壁塗装をしないで済ませるためのコツをご紹介します。 ただし、これらの方法でも完全に塗装を不要にできるわけではありません。 あくまで長持ちさせる方法として参考にしてください。
① 家の周りをきれいに片付ける
外壁に湿気を溜めないよう、なるべく風通しの良い環境にしておくのが効果的です。 ・ 植木の枝が当たらないようにする ・ 外壁に物を立て掛けておかない ・ 物置を設置する場合は、外壁との隙間をあけておく もし、不要なものがあればなるべく処分しておくのがよいでしょう。 特に木材などはシロアリのエサになってしまうため、放置しておくのは危険です。 家の周りをきれいに保つことで、外壁も汚れにくくなります。
② 耐用年数の長い塗料を使う
塗料を選ぶ時は、なるべく耐用年数の長いシリコンやフッ素を選ぶと外壁が長持ちします。 また、価格の安い塗料を選んでしまうと、耐用年数も短く、塗り替えする回数が増えてしまいます。 初期費用が高くなっても、シリコン以上のグレードを選ぶのがおすすめです。 これから塗装する方は、塗装業者に「なるべく長持ちする塗料を使いたい」と伝えてみてください。
③ 長持ちする外壁材に張り替える
外壁塗装の回数を減らすなら、外壁材を変更するのも効果的です。 塗り替えの2倍くらいの費用になってしまいますが、トータルのメンテナンスコストは下がることがあります。例えば最も塗り替えサイクルの短い木質系サイディングと、塗り替えサイクルの長い金属系サイディングを比較してみましょう。 【外壁材】 【塗り替え目安】 【今後40年過ごす場合の塗装回数】 木質系サイディング 5~8年に1回 5~8回 金属系サイディング 15~20年に1回 2~3回 場合によっては3倍近くも回数に差が出ます。 サイディングの張り替えは一時的には費用がかかるかもしれませんが、その後の塗装回数を考えるとお得になるケースもあります。 もし張り替えをするなら、金属系サイディングか樹脂系サイディングに張り替えるのがおすすめです。
8、まとめ
ぜひこの機会にあなたの家の外壁を確認してみてください。 すぐに外壁塗装の必要がなくても、あなたの家の外壁のメンテンスを計画的に考えることできれいに長く保つことができるはずです。