1、はじめに
お家のリフォームを行う際には、補助金制度をぜひとも活用したいところです。 しかし、「今検討している工事は補助金の対象になる?」「受け取れる金額はどのくらい?」など、気になる点が多くありますよね。 今回は、助成金の対象になりやすい工事の例とその費用、主なリフォーム補助金制度についてご紹介します。「補助金の申請時期はいつからいつまで?」「業者はどう選ぶの?」といった疑問も解消していきましょう。
2、リフォーム補助金の2つの注意点
ほとんどのリフォーム補助金は、税金で運営されていることもあり予算や期間が限られています。 補助金の利用を検討する際には、次の2つの注意点に配慮して適切なタイミングで申請するようにしましょう。
① リフォーム着工前に申請が必要
リフォーム補助金制度を活用したい際には、ほとんどの場合着工前に申請しなくてはいけません。 工事を開始してしまってから、あるいは工事完了後に申請しても受理されないため注意が必要です。 また「〇月〇日までに工事を完了させること」などの条件付きである場合が多いため、工事日の調整も重要です。
② 予想よりも早く締め切られることも
たいていの補助金制度は、予算の上限に達すると締め切られてしまいます。 「受付中だからまだ大丈夫」と油断せずに、なるべく早めに申請手続きを行いましょう。 一般的に新年度に募集を開始し、夏・秋頃に受付終了してしまうケースが多く見られます。 ただし、公募期間前に応募した場合は助成対象外になってしまうので、焦らず計画的に申請してください。
3、補助金・助成金を活用できるリフォーム例4選
補助金・助成金を活用しやすいリフォームはどのような内容のものが該当するのでしょうか? 基本的には次の4つのリフォーム工事が補助対象になりやすいと言われています。
① 介護・バリアフリーリフォーム
介護・バリアフリーリフォームの内容としては、手すりの取り付けや床の段差解消、開き戸を引き戸へ変更するといった工事の例が多く、各工事にかかる費用はおおむね以下の通りです。
手すりの設置(トイレ・浴室・廊下・玄関など) 3~10万円/箇所 床の段差解消 1~10万円/箇所 室内ドアを引き戸へ変更 5~30万円/箇所
また、床を滑りにくい素材へ変更したり、和式トイレを洋式トイレへ取り替えるといった工事も補助金の対象になります。 バリアフリーリフォームの際に、最も利用しやすい助成金制度の1つが「介護保険」です。 要支援者あるいは要介護者と認定された方がお住まいになる場合、20万円を上限に自己負担金1~3割で手すりやスロープ設置などの工事を行うことができます。 例えば、工事費が10万円かかるリフォームなら7~9万円、工事費が20万円かかるリフォームであれば14~18万円が助成されます。 なお、地域によっては要介護認定されていなくても、高齢の方がお住まいであればバリアフリーリフォームのための補助金を受給可能な場合があります。 また、介護保険と一緒にお住まいの自治体が支給する補助金制度を併用できるケースも多いです。
② エコ・省エネ・創エネ・断熱リフォーム
断熱改修など、エコ・省エネのためのリフォームに対する補助金・助成金制度もたくさんあります。 具体的には、窓や壁などの断熱リフォーム(内窓の設置など)や、高効率給湯器(エコキュート・エネファームなど)の設置、節水性の高いトイレへの交換、太陽光発電システムや蓄電池の導入などが対象になり、工事にかかる費用は以下が目安です。
窓の断熱化(内窓やペアガラスなど) 5~60万円/箇所 外壁・屋根の断熱化 80~350万円 高効率給湯器の設置(エコキュートなど) 25~73.5万円/台 節水型トイレへの交換 13~35万円/台 高断熱浴槽付きの浴室リフォーム 55~90万円/箇所 太陽光発電システムの設置 130~300万円 蓄電池の設置 15~21万円/kwh
この他にも、LED照明器具・蓄電システム・潜熱畜熱材の設置なども補助対象となるパターンが多く見られます。 省エネのためのリフォームで申請できる補助金制度は、国が支援するタイプのものも自治体が独自で用意しているものも数多くあります。 特に人気があるのが、断熱リフォームの際に申請できる「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」や「次世代省エネ建材の実証支援事業」という制度です。 例えば「次世代省エネ建材の実証支援事業」では、断熱パネルもしくは潜熱蓄熱建材を室内側から導入する改修工事を行うと、一戸建てなら200万円/戸、マンションなら125万円/戸を上限にそれぞれ補助金対象経費の2分の1以内の金額が支給されます。
③ 耐震診断
耐震診断や耐震補強工事もリフォーム補助金の対象となります。 また、地震の際に倒壊する危険性があるブロック塀の撤去・解体工事についても、費用の一部を負担してくれる自治体が増えています。 おおよその診断・工事金額は、以下を参考にしてください。
耐震診断 20~40万円 耐震補強・改修工事 25~200万円 ブロック塀の解体・撤去 0.5~1万円/㎡
地域により、金額や対象となる建物も種類は異なりますが、特に補助対象となるケースが多いのは、1981年5月31日以前に建築確認を受けた旧耐震基準の時期の建物です。
④ 在宅勤務用(テレワーク対応)/ウイルス対策用のリフォーム
「新しい生活様式」が推進されてきた近年では、自治体によってはワークスペースの確保や、換気・衛生管理対策の工事などに補助金を支給しています。 補助対象となりやすいリフォームと、それぞれの工事にかかる費用相場は以下の通りです。
間仕切りの設置 8~25万円/箇所 洗面台(手洗い場)の増設 15~50.5万円/台 窓の新設 10~30万円/箇所
市区町村によっては、上記以外のリフォームの支援策も設けていることがあります。 地域経済の活性化が目的で、自治体内の資源を利用したり地元の施工会社に工事を依頼するなどの条件を設定している場合が多いです。 工事内容としては、主にアスベスト除去・雪対策・景観整備といった防災や環境対策のリフォームを対象としている傾向があります。
4、国の補助金の助成金額や対象となる条件は?
リフォーム補助金には、国から補助されるものと自治体から助成されるものがあります。 制度によって支給要件が細かく異なるため、審査が通りやすい工事ができるようリフォーム会社と相談しながらプランを決定していきましょう。 どの地域の方でも申請できるリフォーム補助金は、次の4つがあります。 バリアフリー工事や高性能な住宅へリフォームしたい際に利用しやすい制度が多く見られます。 いずれの制度も、予算が上限に達し次第予定期限日よりも前に締め切られる可能性があるためご注意ください。
① 介護保険
〈概要・要件〉 要支援・要介護と自治体から認定された方が居住する住宅でバリアフリーリフォームをする際には、介護保険から工事費用の一部を補助されます。 介護保険は各市区町村の保険料と税金によって運営されていますが、全国共通で利用できる制度です。
〈主なリフォーム〉 手すりの取り付け・段差の解消・滑りの防止や、移動円滑のための床材や通路面の材料の変更・扉を引き戸へ取り替え・洋式トイレへの変更や便器の位置変更、およびこれらに伴う壁や柱の改修
〈補助金額〉 上限を20万円とし、工事費用に対し7~9割を補助
〈申請受付期間および工事期間〉 ・申請受付:随時 ・工事日:ほぼ指定なし(ただし着工前に申請が必要)
② 既存受住宅における断熱リフォーム支援事業/次世代省エネ建材実証支援事業
〈概要・要件〉 一戸建て住宅や集合住宅で、高性能な断熱材や次世代省エネ建材を使用してリフォームする際に適用されます。
〈主なリフォーム〉 【断熱リフォーム支援事業】 次の2つの区分から選択可能 A:居間だけ断熱 リビングにある全部の窓を断熱化(必須工事) B:トータル断熱 高性能な断熱材・ガラス・窓などを用いて、家の大部分(リビングを含む)の断熱性を向上させるリフォーム
【次世代省エネ建材実証事業】 次の3つの区分から選択可能(集合住宅の場合はBのみ) A:外張り断熱(外断) 外気に接する外壁全部を屋外から外張り断熱工法などで改修 B:内張り断熱(内断) 断熱パネルか潜熱蓄熱建材を室内側から導入して改修 C:窓断熱(窓断) すべての開口部を(防犯・防風・防火仕様の)外窓および玄関ドアで改修
〈補助金額〉 【断熱リフォーム支援事業】 一戸建て=120万円/戸、集合住宅=15万円 or 20万円/戸を上限とし、それぞれ対象費用の3分の1以内を補助
【次世代省エネ建材実証支援事業】 それぞれ以下の金額を上限とし、対象経費の2分の1以内を補助 A:外断=300万円 or 400万円/戸 B:内断=一戸建て 200万円/戸 集合住宅 125万円/戸 C:窓断=150万円/戸
〈申請受付期間および工事期間〉 【断熱リフォーム支援事業】 ・申請受付:(3月公募の場合)2023年3月20日~6月16日 ・工事日:補助金の交付決定後に着工。 および事業完了後14日以内もしくは提出期限のいずれか早い日までに実績報告できる状態にすること。
③ 長期優良住宅リフォーム推進事業
〈概要・要件〉 一戸建て住宅や共同住宅において、耐震・省エネ性能が高く、長持ちさせやすい長期優良住宅へリフォームする場合に申請できます。 合わせて3世代同居対応の設備拡充や子育てしやすい住宅への改修などを実施する際にも、対象となる場合があります。 なお、補助金申請の手続きは、基本的に居住者・施主の方ではなく施工業者が担当します。
〈主なリフォーム〉 耐震性などを確保した上で、一定の性能向上を満たす改修を行う場合が対象 (例:省エネ対策のための断熱リフォーム/住宅診断結果に基づいた耐震リフォーム/維持管理しやすい設備や配管の工事など)
〈補助金額〉 100~250万円/戸を上限とする
〈申請受付期間および工事期間〉 ・申請受付:(通年申請タイプの場合)2023年5月8日~12月22日 ・工事日:原則として、補助金の交付決定後に着工。 および工事完了から1か月以内もしくは提出期限日のいずれか早い日までに実績報告できる状態にすること
④ こどもエコすまい支援事業
〈概要・要件〉 「こども」という名称の制度ですが、子育て世帯以外の方がリフォームする場合でも利用できます。 主として省エネリフォームを実施する場合に活用しやすい制度です。 工事の組あせによっては、家事負担を軽減する設備のリフォームなどを実施する場合も補助対象になります。 補助金申請の手続きは、基本的に居住者・施主ではなく施工業者が担当します。
〈主なリフォーム〉 A:(開口部・外壁・屋根・天井・床などの)断熱改修もしくはエコ住宅設備の設置 (例:内窓の設置/断熱材を外壁や床などに施工/節水型トイレの設置) B:子育て対応改修・バリアフリーリフォームなど(※ただし、上記のAの工事と一緒に実施する場合に限る)(例:ビルトイン型の食洗器を設置/防災仕様の窓ガラスに交換/手すり設置など)
〈補助金額〉 5~60万円/戸
〈申請受付期間および工事期間〉 ・申請受付:2023年3月31日~遅くとも2023年12月31日まで ・工事日:2022年11月8日~遅くとも2023年12月31日着工
5、まとめ
自治体や事業内容によって助成金額や対応状況は様々ですが、余裕を持って準備できれば補助金制度を活用してお得にリフォームすることができます。 まずは、慌てず地元の補助金や減税制度をきちんと理解しているリフォーム会社に相談してみることをおすすめします。 長期優良住宅へリフォームする際などには、施工会社に補助金申請をしてもらう必要があるので、いずれにしても業者選びは重要です。 なお、ご自身で手続きが必要な補助金であっても、アドバイスや申請代行をしてくれる業者もいます。 なるべく複数のリフォーム会社に見積もりを依頼し、最も相性がよいと思える業者に任せると安心です。
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