外壁塗装の耐用年数は30年!?実際の耐用年数を塗料・外壁別に解説!寿命を延ばす対策も紹介

1、始めに

「外壁塗装の耐用年数はどのくらいなのか?」「耐用年数が過ぎたら何をすればよいのか?」こういった疑問を持ってはいませんか?                                        外壁塗装における「耐用年数」とは、大規模なメンテナンスが必要になるまでの期間のことです。                                                 耐用年数が過ぎた外壁は、塗り替えや補修、外壁材の交換が必要です。                         この記事では、外壁塗装の耐用年数を塗料や外壁材ごとに紹介します。                       また、注意するべき外壁の劣化症状やそのメンテナンス方法についても解説。                    その他、ご自宅の外壁の耐用年数を長くするコツや良い業者の選び方についても詳しくお伝えします。

2、外壁塗装が30年もつというのは嘘?

外壁塗装の耐用年数は10~20年です。
まれに、「外壁塗装は30年以上もつ」と営業をしてくる訪問販売の業者がいます。
しかし、現在製造されているほとんどの塗料が30年以上の耐用年数をもっていません。
このような営業トークをしてくる業者は悪質である可能性が高いので、注意しましょう。外壁塗装の耐用年数に関して、以下のように勘違いされている方が多いようです。
「メーカーや業者が指定する耐用年数が経過するまでは全く劣化しない。」
「耐用年数が経つまでは、塗装などのメンテナンスは何も行わなくて良い。」
しかし、これらの認識は間違いです。
耐用年数とは、「一般的な使い方をした場合に、メーカーや施工業者が保証できる使用限度のこと」です。
つまり、耐用年数は使用限度のことを指しているので、耐用年数内に劣化症状が発生することはありえます。
また、台風が多いなどの特殊な環境であった場合には、耐用年数が経たずに使用できなくなることも。
まずは、耐用年数について正しく理解しましょう。

3、外壁塗装の耐用年数を外壁の部位ごとにチェック

耐用年数がある外壁の部位は以下の3つです。                   
1、塗装
2、外壁材
3、シーリング
「シーリング(コーキング)」とは、外壁の目地や隙間を埋めるためのゴム状の素材です。
上記のうち、最も寿命が短い材料によって外壁のメンテナンス時期が決まります。
塗装の耐用年数が10年、外壁材の耐用年数が20年、シーリングの耐用年数が7年だった場合、外壁のメンテナンスが必要な時期は7年となります。
このため、塗装の耐用年数だけではなく外壁材やシーリングの寿命も考えなくてはいけません。                                                    以下では、塗装と外壁材、シーリングそれぞれの耐用年数を解説します。

                                                          ・塗装の耐用年数

塗料の耐用年数は6~20年程度
塗装の耐用年数は、使う塗料で決まります。
外壁用の塗料は主に4種類あります。
1、ウレタン系塗料
2、シリコン系塗料
3、ラジカル塗料
4、フッ素塗料
塗料ごとの耐用年数を以下にまとめました。
                                                          ウレタン系塗料・・・6~10年
シリコン系塗料・・・8~15年
ラジカル系塗料・・・12~15年
フッ素系塗料・・・15~20年
                                                                     
・外壁材の耐用年数
                                                                  外壁材の耐用年数は20~50年程度です。
塗料の耐用年数が残っていても、外壁材が寿命を超えていたら意味がありません。
住宅で使う主な外壁材は以下の3種類です。
1、サイディング
2、モルタル
3、タイル
材料ごとの耐用年数は以下のようになります。
                                                                   サイディング・・・20~30年
モルタル・・・30年以上
タイル・・・30~50年
                                                        
・シーリング(コーキング)の耐用年数
                                                    シーリングの耐用年数は7~10年程度です。
シーリングの劣化を放置すると、そこから外壁材全体の劣化につながってしまうことも。
なので、シーリングのメンテナンスは塗装や外壁材のメンテナンスと同様に重要だと言えます。
サイディングやモルタルの目地に利用するシーリングは、外壁に使う材料のなかで最も耐用年数が短いです。
そのため、塗り替えをしないでシーリングの補修だけをするケースも。
シーリングの耐用年数は商品によって異なるため、見積もり段階で業者に確認しておきましょう。
また、業者やメーカーによっては、シーリング工事のことを「コーキング工事」「シール工事」ということがあります。
基本的には一緒の意味で使われていますので、特に気にする必要はありません。

4、外壁塗装をメンテナンスするべきかの判断基準は?

自宅の外壁をメンテナンスするかどうかを判断する方法が2つあります。                 1、年数で判断する                                                2、劣化症状で判断する                                       具体的にどのように見分けるのでしょうか?

・年数で判断する                                                 

前回の外壁塗装から10年を目安に塗り替えをする場合が多いです。                            理由は、前回の塗り替え時期である10年前によく使用されていた塗料が「ウレタン塗料」や「シリコン塗料」だからです。                                            どちらも10年程度で塗り替えが必要な塗料となります。                                      シリコン塗料を使っていたと確信が持てるのなら前回の塗り替えから12年、フッ素塗料であれば15年を目安に塗装するとよいでしょう。                                      50年ほどが経過していたら、外壁材自体の寿命が来ているかもしれません。その場合は外壁材の交換も検討しましょう。

・劣化症状で判断する

年数で判断するよりも確実性が高い方法です。                             年数はあくまで目安にしかなりません。                                          外壁の劣化状態を直接確認して塗装するべきかを見極めます。                                          以下の劣化症状が見つかった場合は、塗り替えを検討するとよいでしょう。

1、チョーキング

外壁を触ったときに白っぽい粉が付く現象チョーキングと言います。                   色をつける材料「顔料」が、塗料の劣化によって露出していることが原因です。                       チョーキングを放置していると、外壁の下地材が劣化しやすくなります。                                   下地材が劣化すると、家全体の耐震性に悪影響を及ぼすことも。                                                数日、数週間で大きな被害に繋がることはありませんが、早めの対処を心がけましょう。

2、カビ

年数が経つと外壁塗装の表層面が水分を含むようになってしまいます。                       その水分が原因となって、カビや藻が発生します。                                          日当たりの悪い北面の外壁などは、特にカビや藻の汚れがひどくなりやすいです。

3、変色、退色                                      

主に紫外線が原因となって、塗料の中の「樹脂」「顔料」が劣化することで変色や退色が発生します。                                 「樹脂」は塗料の耐用年数に関わる成分、「顔料」は塗料の色に関わる成分です。             見た目が悪くなっているだけで、耐震性などに影響はありません。                              しかし、メンテナンスのサインだと思って、早めに塗り替えなどを検討しましょう。

4、ひび割れ

外壁材や塗装が割れている現象です。塗装や外壁材の劣化によって発生します。                    髪の毛くらい細いひび割れなら心配はほとんどありません。                                         しかし、シャープペンの芯が入るほどの隙間があるなら塗り替えや補修が必要です。

5、ふくれ

塗装が膨れている現象です。                                     外壁材と塗装部分の密着性が失われると起こります。                                    塗り替えをしないで放置をすると「剥がれ」に移行します。

6、剥がれ

塗装が剝がれている現象です。外壁材と塗装部分の密着性が失われると起こります。            塗装の下地や外壁材が露出しているため、塗り替えが必要です。                                下地(塗装面)の劣化症状は塗膜層の劣化よりも深刻です。                        これらの症状が見られたら、放置せず早めの対処を検討しましょう。

5、外壁塗装の耐用年数が過ぎたときに起こる問題

外壁塗装の耐用年数が過ぎると以下のような問題が起こります。

1、雨漏り

外壁塗装の耐用年数がすぎると外壁の劣化が進み、シーリングの破損や外壁材のひび割れが発生します。
シーリングの破損や外壁材のひび割れが起こると、雨水が隙間から室内に侵入してしまうのです。

                                                 2、見た目の悪化                                

変色や退色、カビや藻などが発生すると、本来の塗装の色合いやデザインが失われてしまいます。                                    これらの劣化症状は放置すると、ますます見た目は悪くなってしまうでしょう。

3、外壁材の劣化

塗装が剥がれることで外壁材が露出してしまいます。
塗装を必要とするような外壁材だと、紫外線や雨に対する保護機能を備えていません。
急速に劣化が進んで、最悪の場合は建物全体の劣化を招くでしょう。
建物全体が劣化した場合、建て直しには2,000万円以上の費用が必要です。
外壁塗装の平均相場は約80万円です。
劣化症状が出て早めの対処を行えば、余計な費用がかかることはありません。

                                                  4、害虫の侵入

外壁塗装をしないで放置した場合、ひび割れによって隙間が生まれます。
隙間ができると、ゴキブリといった害虫が侵入しやすくなるでしょう。

                                                  5、耐震性の悪化                                

外壁塗装の劣化を放置していると、家の内側まで悪影響が及ぶことがあります。              塗装面が劣化すると、外壁の内側に虫や水が侵入しやすくなります。                             その影響で外壁内側の建具が腐敗し劣化すると、家全体の耐震性が悪化してしまうことがあるのです。耐震性が悪化するという問題は、家族全員の命の問題につながります。外壁や家全体がこのような状態になる前に、早めのリフォームを検討しましょう。

6、外壁塗装の耐用年数が過ぎたときに必要な工事

外壁塗装の耐用年数が過ぎた場合に行うべき工事は、主に3つあります。                 1、塗り替え                                            2、シーリング補修                                           3、外壁材の交換(張替やカバー工法)                                           それぞれどのような状況で選ぶ工事なのかを以下で解説していきましょう。

1、塗り替え

外壁塗装の耐用年数が過ぎた場合に行う一般的な工事が塗り替えです。
塗装が耐用年数を超えていて、外壁材の寿命が残っている場合に行います。
塗り替えが必要な劣化症状には以下があります。
・チョーキング
・ひび割れ
・ふくれ
・剥がれ

「ひび割れ」の場合は、シーリングやモルタルなどで隙間を埋めてから塗装します。

2、シーリング補修

目地などに注入してあるゴム状の「シーリング材」を補修する工事です。
外壁材と塗装の両方の耐用年数に余裕がある場合に行います。
シーリング補修が必要な劣化症状は「シーリング部の劣化」です。
シーリング部が割れたり剥がれたりしている場合は補修が必要です。
既存のシーリングを剥がして再充填する「打ち替え」と、既存シーリングの上から充填する「打ち増し」の2種類があります。
基本は「打ち替え」を行いますが、劣化が軽い場合は「打ち増し」で対応する業者もあります。

シーリング補修は塗り替えと同時に行うケースも多いです。

3、外壁材の交換(張替やカバー工法)

外壁材の張り替えは、既存の外壁を取り外し新しい外壁を取り付ける工事です。
カバー工法(重ね張り)は、既存の外壁を残したまま、その上に新しい外壁を貼り付ける工事です。
どちらも、外壁材が耐用年数を超えていたり破損していたりする場合に行います。
外壁材の交換が必要な劣化症状は「外壁材の破損」です。
欠けたり反ったりしている場合は交換しないと雨漏りや隙間風の原因となります。
外壁材が寿命となっている場合は、塗り替えやシーリング補修では劣化を防げません。
このため、外壁材を交換しなくてはいけません。

7、外壁塗装の耐用年数を長くするには

外壁塗装の耐用年数を長くする要素は3つあります。                           1、塗料の耐用年数                                         2、シーリングの耐用年数                                                 3、業者の技術力                                          以下では、外壁塗装の耐用年数を長くするための対策を詳しく紹介します。

1、塗料の耐用年数

耐用年数が長い塗料を使えば外壁塗装の寿命は延びます。
特に耐用年数が長いのは「フッ素塗料」です。
15〜20年の耐用年数があります。

信頼性が高く人気がある塗料のため、耐用年数を延ばしたい場合は「フッ素塗料」を利用するとよいでしょう。

2、シーリングの耐用年数

耐用年数が長いシーリング材を使うことで外壁塗装の寿命が延ばせるでしょう。
シーリングの耐用年数は7〜10年が多いです。
しかし、オート化学工業株式会社が販売する「オートンイクシード」などは15年以上の耐用年数があります。
フッ素塗料を使うのであれば、15年を超える耐用年数のシーリング材を選ぶようにしましょう。
また、シーリングがほとんど不要な外壁材があります。
「樹脂系サイディング」や「モルタル」です。

外壁材を選べる場合は、シーリングをほとんど使わない「樹脂系サイディング」や「モルタル」にすることで、外壁塗装をするタイミングを先延ばしにできるでしょう。

3、業者の技術力

耐用年数が最も長い材料を選んだとしても、業者の技術力が低いと素材が性能を発揮できません。
業者選びに失敗すると、15年の耐用年数があるフッ素塗料を使っても1年で剥がれてしまいます。
優良業者を探す方法は3つあります。
・相見積もりで探す
・工事の実績を確認する
・外壁塗装の資格を確認する
相見積もりとは、複数の業者に同じ工事内容で見積もりを出してもらう手法です。
工事内容や価格を比較できるため、優良業者を探す際に有効です。
業者の実績も確認しましょう。
外壁塗装の実績がある会社であれば、信頼性は高いと考えられます。
また、外壁塗装の資格を職人が所持しているかも優良業者の目安となります。
「塗装技能士1級」などの資格を所持している業者であれば、安心して依頼できそうですね。

8、まとめ

想定する耐用年数よりも前に塗装がはがれてしまった場合は、業者に問い合わせが必要です。
優良業者を選ばないと「品質に問題ない」「塗料の寿命だ」などと取り合ってくれない場合もあるでしょう。
耐用年数が長い材料を使うことも重要ですが、それ以上に業者選びに力を入れるようにしましょう。