隣の屋根が飛んできた!?台風に強い屋根にしたい!

1、はじめに

ここ最近、大型の台風による被害をニュースなどでよく目にします。                   そうなってくると増えてくるのが、『瓦が飛んで行った!』といった問い合わせです。           瓦が飛んでしまった!となると、当然雨漏りの原因になりますね。                    また、飛んでしまった屋根材が、人や物を傷つけているかもしれません。                 このように、屋根材が台風で飛ばされてしまうと、様々なトラブルが起きる恐れがあります。                                                       なんとか台風に強い屋根にして、トラブルが起きないようにしたいのは当然ですよね。           今回は、台風と屋根材をテーマにして、台風に負けない屋根を調べてみました。

2、台風に強い屋根とは:台風について知ろう(台風の規模と風速による表現の違い)

まずは、台風についてまとめてみました。
ひとえに台風と言っても、その規模や強さにはかなりの幅がありますよね。                    よくニュースで『猛烈な勢いの台風』だとか『非常に強い勢力の台風』といった言い回しを聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。                                    この『猛烈な』や『非常に強い』ってどちらが危険なのか、どのくらい差があるのか、皆さんご存知ですか?
実は、ちゃんとした基準があるのです。台風の最大風速によって、表現が決まっているのです。

・表現なし・・・33m/s未満                                              

・強い・・・33m/s以上~44m/s未満                           

・非常に強い・・・44m/s以上~54m/s未満                      

・猛烈な・・・54m/s以上                                             

強さのほかに、規模に関しても基準があります。
よく、『大型の台風』といった言われ方をしていますが、どの程度の大きさでしょうか。
台風の規模は、下のようになっています。                          

・表現なし・・・300km未満                                                 

・中型(並みの大きさ)・・・300km以上~500km未満               

・大型(大きい)・・・500km以上~800km未満                                     

・超大型(非常に大きい)・・・800km以上                                                   

今一つ規模にピンと来ていない方のために参考まで。
東京都から奈良県までが約500km程だそうです。
ちなみに、この表は台風の半径なので、大きさ自体はこの倍ですね。
改めて、とてつもない規模の災害だなと実感します。
普段何気に聞いている台風情報ですが、こんな裏事情があったのですね。

3、台風に強い屋根とは:台風に備えた屋根工事方法(瓦屋根と金属屋根の施工ガイドライン)

さてさて、台風について少々知識を付けたところで屋根材に目を向けてみましょう。            まずは、瓦屋根から。
現在、瓦屋根工事は、1995年1月に発行された「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」という施工マニュアルに沿って行われています。
このマニュアルの発行以前は、工事業者ごとに施工方法が異なっていました。
当時の施工方法は、現在の基準で見ると、地震や強風に対して脆弱あることが多かったそうです。
現在の施工方法では、瓦一枚一枚を釘で止める、棟には補強金具を用いるなどして、耐震・耐風性を高めています。                                                そうしてガイドライン工法で葺(ふ)かれる瓦屋根は、風速(各地域で発生しうる年最大風速)を想定したテストに問題なく耐えられます。
こう考えると、最新の施工方法で葺かれた瓦屋根は、かなり頑丈ではないでしょうか。 残念ながら、台風や地震の被害にあっている瓦屋根のほとんどが、ガイドライン工法以前の施工方法で葺かれたものだそうです。
築年数が20年を超える家に住まわれている方は、一度屋根の点検をされることをお勧めします。                                                           次は、『軽くて手頃な価格』で人気の金属屋根です。                                  金属屋根は、瓦のように『鋼板製屋根構法標準(SSR 2007)』という施工・設計マニュアルがあります。
こちらも、瓦屋根のガイドライン工法と同様に、基準風速を想定したテストに耐えられる施工方法になっています。                                                瓦屋根も金属屋根も、最新の施工方法であれば大抵の台風に耐えることができるでしょう           実は、これらの施工マニュアルは災害がきっかけで発行に至ったそうです。
瓦屋根のガイドライン工法は、阪神淡路大震災が、金属屋根の設計・施工マニュアルは1975年に八丈島を襲った台風13号が起きたのち、全国的に施工マニュアルを統一する流れになりました。                                                 そうして作成された施工マニュアルなので、大規模な災害を想定したものになっています。
過去に起きた災害を想定したマニュアルだと安心ですね。

4、台風に強い屋根とは:台風後の屋根点検は必要?(屋根点検のタイミング)

最新の施工方法を用いた屋根であれば、『強い台風』程度であれば耐えられることでしょう。                                                   ですが、耐えられるとはいえダメージは受けます。                                   飛来物によって、瓦が割れる。風で金属屋根の端部がめくれ、雨漏りの原因になる、などなど。                                                      こうした屋根のダメージを放置して、何度も台風にさらされると、大きな被害につながる恐れがあります。                                               ですから、台風の後にはぜひ点検をお勧めします。                                      一見、下から見ると問題ないように見える屋根も、職人さんが登ってみるとボロボロ!なんてことも多いそうです。                                                台風の後には、屋根工事屋さんは大忙しです。                                         雨漏り修理や、瓦の補修などで月に100件を超える依頼を受けることもあるそうです。                  そうなると、屋根工事屋さんに緊急の修理のお願いをしても、すぐには対応はしてもらえないことが多いです。                                                被害が小さいうちに適切な処置をしてもらえるように、台風がひと段落する秋の終わり頃には、屋根の点検を考えてみるのも一つの手段です。

5、まとめ

いかがでしょうか。
基本的には、最新の施工方法で葺かれた屋根であれば、強風による被害は防げるはずです。                                                          ですが、何度も台風によるダメージを蓄積していくと大きなトラブルの原因になるかもしれません。
また、台風による飛来物で屋根材の破損などが起こる可能性はあります。                               ですから毎年点検!とまではいかなくとも、『非常に強い台風』や『猛烈な台風』が通り過ぎる年には点検することをお勧めします。                                        ただし!ご自身で屋根の上に上がることは絶対にしないでください!
思いがけない事故につながりますから!                                          点検をお考えの皆さんは、ぜひ専門業者さんにお問合せして無理のない工事をしましょう。